「実質的資本額の三要件」とは、以下の三つの基準をいう。 一 資本金の額が事業の性質および規模に照らして相当であること 二 資本金が事業運営に必要な財務的基盤を確保していること 三 資本金の出所が正当かつ合法的であること 以上の要件を満たすことにより、資本が実質的であると認められる。
回答
E-2ビザの「実質的資本(Substantial Capital)」要件を徹底解説
イントロダクション
米国でビジネスを展開する日本人投資家にとって、E-2条約投資家ビザは重要な選択肢の一つです。その取得要件の中でも特に理解が難しいのが「実質的資本(Substantial Capital)」の概念です。本記事では、この要件について正確な情報と実務上の判断基準を詳しく解説します。
「実質的資本額」の正確な定義と判断基準
一般的な誤解について
インターネット上では「実質的資本額の三要件」として、以下のような説明が見られることがあります:
一 資本金の額が事業の性質および規模に照らして相当であること
二 資本金が事業運営に必要な財務的基盤を確保していること
三 資本金の出所が正当かつ合法的であること
しかし、この「三要件」は米国移民法上のE-2ビザにおける正式な基準ではありません。
米国移民法上の正確な定義
米国移民法上のE-2条約投資家ビザにおける「実質的資本(Substantial Capital)」とは、以下のように定義されます:
相当額の資本とは、既存事業の買収または検討中の事業の創設に要する総費用に対して相当の規模を有し、条約投資家の事業成功に対する財務的コミットメントを確保し得るものであり、かつ条約投資家が当該事業を成功裏に発展・指導する可能性を支えるに足る規模をいいます。
実務上の判断基準:比例性テスト(Proportionality Test)
実務上、最も重視されるのが投資額と事業の総費用との比例性です。この判断には以下のような特徴があります:
事業費用が少額の場合:
- より高い割合の投資が求められます
- 例:総事業費用が10万ドルの場合、80-100%の投資が必要とされることが多い
事業費用が高額の場合:
- 相対的に低い割合でも実質性が認められる傾向があります
- 例:総事業費用が100万ドルの場合、50-60%程度でも認められる可能性がある
この「逆比例の原則」は、少額事業では投資家の真剣なコミットメントを示すためにより高い投資割合が必要である一方、大規模事業では絶対額が大きくなるため相対的な割合が低くても十分な財務的コミットメントを示せるという考え方に基づいています。
「At Risk」要件の重要性
もう一つの重要な判断要素が、**投資資金が既に事業に投下されているか、または投下が確実であること(at risk)**です。
これは以下を意味します:
- 単に銀行口座に資金があるだけでは不十分
- 実際に事業運営のために使用されている、または使用される予定であることが必要
- 投資家が損失のリスクを負っていることが求められる
- 返金可能な預金や担保付き融資は「at risk」とみなされない場合がある
資金源の合法性
上記の「三要件」の第三項にある「資本金の出所が正当かつ合法的であること」は、実質的資本の定義そのものではありませんが、E-2ビザ申請全体において確かに重要な要素です。申請者は以下を証明する必要があります:
- 投資資金の出所が合法的であること
- 資金の流れを書類で追跡できること
- 贈与、相続、事業収入、不動産売却など、資金源を明確に説明できること
重要なポイント
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「実質的資本の三要件」という固定的な基準は存在しない - 米国移民法では比例性テストを中心とした総合的な判断が行われる
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比例性テスト(Proportionality Test)が最重要 - 事業の総費用に対する投資額の割合が、事業規模に応じて適切であることが求められる
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「At Risk」要件 - 投資資金が実際に事業に投下され、投資家が損失リスクを負っていることが必要
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絶対的な最低投資額は存在しない - 事業の性質や規模によって必要な投資額は異なるが、実務上は最低でも10万ドル程度が目安とされることが多い
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資金源の合法性の証明は必須 - 投資資金の出所を明確に書類で証明できることが求められる
実践的なステップ
ステップ1:事業計画の総費用を正確に算出する
まず、事業の立ち上げまたは買収に必要な総費用を詳細に計算します:
- 不動産の賃貸または購入費用
- 設備・機器の購入費用
- 初期在庫の購入費用
- 従業員の給与(最低6ヶ月分)
- マーケティング・広告費用
- 法務・会計費用
- 運転資金
この総費用が、比例性テストの基準となります。
ステップ2:適切な投資額を決定する
事業の総費用に基づいて、必要な投資額を決定します:
- 小規模事業(総費用10万ドル未満):80-100%の投資を目指す
- 中規模事業(総費用10-50万ドル):60-80%の投資を目指す
- 大規模事業(総費用50万ドル以上):50-70%の投資でも検討可能
ただし、これらは一般的な目安であり、個別の状況により異なります。
ステップ3:資金源の書類を準備する
投資資金の出所を証明する書類を体系的に整理します:
- 銀行取引明細書(過去2-5年分)
- 給与明細や確定申告書
- 事業売却契約書
- 不動産売却契約書
- 贈与契約書や相続証明書
- 資金の移動を示す送金記録
資金の流れを明確に追跡できるよう、時系列で整理することが重要です。
ステップ4:投資の実行と証拠の確保
資金を実際に事業に投下し、その証拠を確保します:
- 事業用銀行口座の開設
- 設備・在庫の購入領収
免責事項
この回答は教育目的のみであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な移住やビジネスの決定については、必ず認可された専門家(弁護士、会計士など)にご相談ください。情報は執筆時点のものであり、法律や規制は変更される可能性があります。
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