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アメリカ永住権(グリーンカード)とは?取得条件・方法・費用を完全解説
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アメリカ永住権(グリーンカード)とは?取得条件・方法・費用を完全解説

Omer Aydin
43 min read

アメリカ永住権(グリーンカード)とは?取得条件・方法・費用を完全解説

アメリカ永住権、通称「グリーンカード」は、アメリカ合衆国に永住する権利を証明する重要な身分証明書です。グリーンカードを取得することで、アメリカでの就労、居住、そして将来的には市民権取得への道が開かれます。本記事では、米国移民局(USCIS)の公式情報に基づき、グリーンカードの取得方法、申請条件、費用、処理期間について詳しく解説します。

グリーンカード(米国永住権)とは

グリーンカードは、正式には「Permanent Resident Card(永住者カード)」と呼ばれ、外国人がアメリカ合衆国に合法的に永住する権利を持つことを証明する身分証明書です。グリーンカード保持者は、米国市民とほぼ同等の権利を享受できますが、投票権や一部の公職に就く権利などは制限されています。

グリーンカードという名称は、かつてこのカードが緑色であったことに由来しています。現在のカードは緑色ではありませんが、歴史的な理由から「グリーンカード」という呼称が広く使われ続けています。グリーンカードの有効期間は通常10年間で、更新が必要です。ただし、結婚に基づく永住権の場合、最初の2年間は条件付きグリーンカードとなり、その後正式な10年有効のグリーンカードに切り替える必要があります。

グリーンカード取得の主な方法

米国移民局(USCIS)が定めるグリーンカード取得方法は、大きく分けて以下の8つのカテゴリーに分類されます。それぞれの方法には独自の要件と手続きがあり、申請者の状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。

家族ベースの永住権

家族ベースの永住権は、アメリカ市民または永住権保持者の家族が申請できる方法です。この方法は、家族の絆を重視するアメリカの移民政策の中核をなしています。家族ベースの永住権は、さらに「直系親族」と「優先家族カテゴリー」に分けられます。

直系親族カテゴリーには、米国市民の配偶者、21歳未満の未婚の子供、そして21歳以上の米国市民の両親が含まれます。このカテゴリーには年間発給数の上限がなく、比較的早く永住権を取得できる可能性が高いという特徴があります。一方、優先家族カテゴリーには、米国市民の21歳以上の未婚の子供、既婚の子供、兄弟姉妹、そして永住権保持者の配偶者や未婚の子供が含まれます。こちらのカテゴリーには年間発給数に上限があるため、待機期間が長くなる傾向があります。

家族ベースの永住権申請では、米国市民または永住権保持者がスポンサーとなり、Form I-130(外国人親族の請願書)を提出する必要があります。スポンサーは、申請者を経済的に支援できることを証明する必要があり、一定の収入基準を満たさなければなりません。

雇用ベースの永住権

雇用ベースの永住権は、アメリカでの就労を通じて永住権を取得する方法です。このカテゴリーは、米国経済に貢献できる優秀な人材を誘致することを目的としており、5つの優先カテゴリーに分けられています。

第1優先(EB-1)カテゴリーには、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツの分野で卓越した能力を持つ人物、優れた教授や研究者、多国籍企業の管理職や役員が含まれます。このカテゴリーは、労働認証(PERM)が不要であり、比較的早く永住権を取得できる可能性があります。

第2優先(EB-2)カテゴリーは、修士号以上の学位を持つ専門職、または科学、芸術、ビジネスの分野で卓越した能力を持つ人物が対象です。また、国益免除(National Interest Waiver)を申請できる場合もあり、この場合は雇用主のスポンサーシップや労働認証が不要となります。

第3優先(EB-3)カテゴリーには、学士号を持つ専門職、最低2年の訓練または経験を必要とする熟練労働者、そして2年未満の訓練で可能な非熟練労働者が含まれます。このカテゴリーは最も広範囲をカバーしていますが、待機期間が長くなる傾向があります。

雇用ベースの永住権申請では、通常、雇用主がスポンサーとなり、Form I-140(外国人労働者の移民請願書)を提出します。多くの場合、労働認証(PERM)プロセスを経る必要があり、米国労働省に対して、その職位に適格な米国労働者がいないことを証明しなければなりません。

投資による永住権(EB-5プログラム)

EB-5投資永住権プログラムは、米国経済に相当額の投資を行い、雇用を創出することで永住権を取得する方法です。このプログラムは、外国資本を米国に誘致し、雇用を創出することを目的としています。

EB-5プログラムの基本的な要件は、新規商業事業に最低105万ドル(約1億5千万円)を投資することです。ただし、目標雇用地域(TEA:Targeted Employment Area)または インフラプロジェクトへの投資の場合は、最低投資額が80万ドル(約1億1千万円)に減額されます。目標雇用地域とは、失業率が全国平均の150%以上の地域、または人口2万人以下の農村地域を指します。

投資によって、少なくとも10人の適格な米国労働者に対して、フルタイムの雇用を創出する必要があります。この雇用創出要件は、EB-5プログラムの中核をなす要素であり、投資家は事業計画書において、どのように雇用を創出するかを詳細に説明しなければなりません。

EB-5プログラムには、直接投資とリージョナルセンター経由の投資という2つの主な方法があります。直接投資では、投資家自身が事業を運営し、直接雇用を創出します。一方、リージョナルセンター経由の投資では、USCISが承認した投資プロジェクトに投資し、直接雇用だけでなく間接雇用も雇用創出要件にカウントできるという利点があります。

抽選による永住権(DVプログラム)

多様性移民ビザプログラム(DV Program)、通称「グリーンカード抽選」は、移民の少ない国からの移民を促進するために設けられたプログラムです。毎年、約5万5千件の永住権が抽選によって配分されます。

DVプログラムの応募期間は年に1回、通常10月から11月にかけての約1か月間のみです。応募は完全に無料で、米国国務省の公式ウェブサイトからオンラインで行います。詐欺サイトに注意が必要で、公式サイト以外からの応募や、応募代行に高額な費用を請求するサービスには警戒が必要です。

日本国籍保持者はDVプログラムへの応募資格があります。ただし、毎年2200万人以上が応募し、当選確率は0.24%から0.47%程度(400人に1人未満)と非常に低いのが現実です。実際には、8万から10万人が当選者として選ばれますが、最終的に永住権を取得できるのは約5万人です。これは、当選後の手続きで辞退する人や、資格要件を満たさない人がいるためです。

DVプログラムの応募資格は、高校卒業または同等の学歴(12年間の教育)を持つこと、または過去5年以内に最低2年の訓練または経験を必要とする職業で2年以上の就労経験があることです。また、厳格なデジタル写真の仕様を満たす必要があり、写真の不備は失格の原因となります。

当選者は翌年5月に結果が発表され、当選した場合は同年度の9月30日までにすべての手続きを完了し、永住権を取得する必要があります。このため、当選から永住権取得までの期間は非常にタイトなスケジュールとなります。

難民・庇護申請者

難民または庇護申請者として認められた人は、米国に入国または滞在してから最低1年後にグリーンカードを申請できます。難民は米国外から保護を求める人々であり、庇護申請者は既に米国内にいるか、入国地点で保護を求める人々です。

難民や庇護申請者がグリーンカードを申請する際は、Form I-485を提出しますが、通常の申請とは異なり、申請料が免除される場合があります。また、難民や庇護申請者の配偶者や子供も、一定の条件下でグリーンカードを申請できます。

人身売買・犯罪被害者

人身売買の被害者や特定の犯罪の被害者は、特別なビザカテゴリー(TビザまたはUビザ)を通じてグリーンカードを申請できる場合があります。Tビザは人身売買の被害者向けで、Uビザは特定の犯罪の被害者で、法執行機関に協力した人向けです。

これらのビザ保持者は、一定期間米国に滞在し、特定の要件を満たした後、グリーンカードを申請できます。このカテゴリーは、犯罪被害者を保護し、法執行機関への協力を促進することを目的としています。

虐待被害者(VAWA自己請願者)

家庭内暴力防止法(VAWA:Violence Against Women Act)に基づき、米国市民または永住権保持者の配偶者や子供、または親から虐待を受けた人は、自己請願によってグリーンカードを申請できます。この制度は、虐待者に依存せずに永住権を取得できるようにすることで、被害者を保護することを目的としています。

VAWA自己請願者は、Form I-360を提出し、虐待の証拠と良好な道徳的性格を証明する必要があります。この申請は秘密裏に処理され、虐待者に通知されることはありません。

その他のカテゴリー

上記以外にも、いくつかの特別なカテゴリーがあります。キューバ調整法に基づくキューバ国籍者、リベリア難民移民公平法(LRIF)に基づくリベリア国籍者、特別移民(宗教労働者、アフガニスタンやイラクの通訳者、国際放送局の職員など)、カナダ生まれのアメリカ先住民、米国で外交官の子供として生まれた人などが含まれます。

また、1972年1月1日以前から米国に継続して居住している人は、レジストリー(Registry)というプログラムを通じてグリーンカードを申請できます。このプログラムは、長期間米国に居住している人々に合法的な地位を提供することを目的としています。

グリーンカード申請プロセス

グリーンカードの申請プロセスは、申請カテゴリーによって異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。このプロセスを理解することで、申請の準備と計画を適切に行うことができます。

ステップ1:資格の確認

まず、自分がどのカテゴリーでグリーンカードを申請できるかを確認します。USCISの公式ウェブサイトには、各カテゴリーの詳細な資格要件が記載されています。複数のカテゴリーに該当する場合は、処理時間や成功率を考慮して、最適な方法を選択することが重要です。

ステップ2:移民請願書の提出

ほとんどの場合、まずスポンサー(雇用主、家族など)が移民請願書を提出する必要があります。家族ベースの場合はForm I-130、雇用ベースの場合はForm I-140、投資ベースの場合はForm I-526などが該当します。一部のカテゴリーでは、自己請願が可能です。

移民請願書には、申請者とスポンサーの関係を証明する書類、スポンサーの経済的能力を証明する書類、申請者の資格を証明する書類などを添付する必要があります。書類の不備は申請の遅延や却下の原因となるため、慎重に準備することが重要です。

ステップ3:優先日の確定とビザの空き状況の確認

移民請願書が承認されると、「優先日(Priority Date)」が確定します。優先日は、請願書が提出された日付であり、ビザの順番待ちリストにおける申請者の位置を決定します。

年間発給数に上限があるカテゴリーでは、ビザが利用可能になるまで待機する必要があります。米国国務省は毎月「ビザ・ブリテン(Visa Bulletin)」を発行し、各カテゴリーと国籍別のビザの空き状況を公表しています。自分の優先日がビザ・ブリテンに記載されている日付に達すると、グリーンカード申請を進めることができます。

ステップ4:グリーンカード申請の提出

ビザが利用可能になったら、グリーンカード申請を提出します。米国内にいる場合は、Form I-485(ステータス調整申請)をUSCISに提出します。米国外にいる場合は、領事館プロセス(Consular Processing)を通じて、米国大使館または領事館で移民ビザを申請します。

一部のカテゴリーでは、移民請願書とForm I-485を同時に提出する「同時申請(Concurrent Filing)」が可能です。これにより、処理時間を短縮できる場合があります。

ステップ5:バイオメトリクス(生体認証)

Form I-485を提出した後、USCISからバイオメトリクス予約の通知が届きます。指定された日時にUSCISのアプリケーション・サポート・センター(ASC)に出向き、指紋、写真、署名を提供します。これらの情報は、身元確認と犯罪歴のチェックに使用されます。

ステップ6:面接

多くの場合、USCISまたは米国大使館・領事館での面接が必要です。面接では、申請書の内容、申請者の背景、米国での計画などについて質問されます。結婚に基づく永住権申請の場合は、夫婦関係の真実性を確認するための質問が行われます。

面接には、すべての原本書類(出生証明書、結婚証明書、パスポート、学歴証明書など)を持参する必要があります。また、健康診断の結果も提出する必要があります。健康診断は、USCISが指定した医師(Civil Surgeon)によって行われなければなりません。

ステップ7:決定の受領

面接後、USCISまたは領事館から決定が通知されます。承認された場合、米国内にいる申請者には郵送でグリーンカードが届きます。領事館プロセスを経た申請者には、パスポートに移民ビザが貼付され、米国入国時にグリーンカードの発行手続きが行われます。

却下された場合は、却下の理由が通知されます。一部のケースでは、追加書類の提出や再面接によって問題を解決できる場合があります。また、却下決定に対して上訴することも可能です。

グリーンカード申請にかかる費用

グリーンカード申請には、複数の段階で費用が発生します。費用は申請カテゴリーや申請方法によって異なりますが、以下に主な費用項目を示します。

主な申請費用

| 申請書類 | 費用(2025年現在) | 備考 | |---------|-------------------|------| | Form I-130(家族ベース請願書) | 処理時間は永住権保持者の場合最大35か月 | 米国市民または永住権保持者が提出 | | Form I-140(雇用ベース請願書) | 通常処理:6-8か月、特急処理:3週間以内 | 雇用主が提出、オンライン申請割引あり | | Form I-526(投資家請願書) | $11,160 | EB-5投資家が提出 | | Form I-485(ステータス調整申請) | $1,440(14-78歳)、$950(14歳未満で親と同時申請) | 米国内での申請 | | バイオメトリクス費用 | Form I-485の費用に含まれる | 指紋、写真、署名の採取 | | 移民ビザ申請費用(領事館プロセス) | 1人あたり$330 | 米国外からの申請 | | USCIS移民手数料 | $235 | 移民ビザ承認後、米国入国前に支払い | | 健康診断費用 | $400-$600程度(国や医療機関により異なる) | USCIS指定医師による診断 |

その他の費用

上記の公式費用に加えて、以下のような費用が発生する場合があります。

弁護士費用は、ケースの複雑さによって大きく異なります。結婚ベースの永住権申請の場合、約$4,000程度が一般的です。雇用ベースや投資ベースの場合は、$5,000から$15,000以上かかることもあります。弁護士を雇うことで、申請プロセスがスムーズになり、却下のリスクを減らすことができますが、必須ではありません。

翻訳費用は、英語以外の言語で作成された書類を英語に翻訳する必要がある場合に発生します。出生証明書、結婚証明書、学歴証明書などの翻訳が必要になることが多く、1ページあたり$20-$50程度が相場です。翻訳は認定翻訳者によって行われる必要があります。

書類取得費用には、出生証明書、結婚証明書、警察証明書、学歴証明書などの取得費用が含まれます。これらの書類は、発行国や機関によって費用が異なります。日本の場合、戸籍謄本や住民票などの取得費用は比較的安価ですが、海外からの取り寄せには時間と追加費用がかかる場合があります。

労働認証(PERM)費用は、雇用ベースの永住権申請で必要となる場合があります。雇用主が負担することが一般的ですが、弁護士費用を含めると$5,000から$10,000程度かかることがあります。

総合的に見ると、グリーンカード申請にかかる総費用は、最も安価な家族ベースの申請で約$5,000程度、雇用ベースで$8,000から$15,000程度、投資ベースでは投資額に加えて$20,000以上の申請関連費用がかかることが一般的です。

費用免除と減額

経済的に困難な状況にある申請者は、Form I-912(費用免除申請書)を提出することで、一部の申請費用の免除を申請できます。ただし、すべての費用が免除されるわけではなく、特定の公法に基づく追加費用は免除の対象外です。

費用免除の資格を得るには、連邦貧困ガイドラインに基づく収入基準を満たす必要があります。また、公的扶助を受けている場合や、経済的困難を証明できる場合も、費用免除が認められる可能性があります。

グリーンカード申請の処理期間

グリーンカード申請の処理期間は、申請カテゴリー、申請者の国籍、USCISのサービスセンター、ケースの複雑さなどによって大きく異なります。以下に、各カテゴリーの一般的な処理期間を示します。

カテゴリー別処理期間

| カテゴリー | 処理期間の目安 | 備考 | |-----------|---------------|------| | 直系親族(米国市民の配偶者・子供・親) | 6か月~1.5年 | ビザ上限なし、比較的早い | | 優先家族カテゴリー | 1年~10年以上 | 国籍と優先順位により大きく異なる | | 雇用ベース第1優先(EB-1) | 8か月~2年 | 特急処理利用可能(3週間以内) | | 雇用ベース第2優先(EB-2) | 1年~3年 | PERM労働認証が必要な場合は追加で16か月以上 | | 雇用ベース第3優先(EB-3) | 2年~5年以上 | 待機期間が長い傾向 | | EB-5投資永住権 | 2年~5年 | 投資額と地域により異なる | | DV抽選プログラム | 応募から約2年 | 当選後は同年度内に手続き完了が必須 | | 難民・庇護申請者 | 1年~3年 | 難民・庇護認定から1年後に申請可能 |

処理期間に影響する要因

処理期間は、以下のような要因によって変動します。

ビザの空き状況は、年間発給数に上限があるカテゴリーで重要な要因です。特に、中国やインドなどの移民申請者が多い国の出身者は、ビザの待機期間が長くなる傾向があります。ビザ・ブリテンで自分の優先日が現在処理されている日付に達するまで、何年も待つ必要がある場合があります。

USCISのサービスセンターによって、処理速度が異なります。USCISは複数のサービスセンターを運営しており、各センターの処理能力や案件の量によって、処理時間に差が生じます。USCISの公式ウェブサイトでは、各サービスセンターの処理時間を確認できます。

書類の完全性は、処理時間に大きく影響します。申請書類に不備がある場合、USCISから追加書類の提出を求められる「RFE(Request for Evidence)」が発行されます。RFEに対応するには追加の時間がかかり、全体の処理期間が延びることになります。

バックグラウンドチェックの結果も処理時間に影響します。犯罪歴や複雑な渡航歴がある場合、追加の調査が必要となり、処理時間が延びる可能性があります。

面接のスケジュールも要因の一つです。USCISオフィスや米国大使館・領事館の予約状況によって、面接までの待機時間が異なります。特に、COVID-19パンデミック以降、面接の予約が取りにくくなっている地域もあります。

処理時間の確認方法

USCISの公式ウェブサイトでは、「Processing Times(処理時間)」ページで、各フォームと各サービスセンターの現在の処理時間を確認できます。また、申請後は、オンラインアカウントを作成することで、自分のケースの状況をリアルタイムで追跡できます。

「Case Status Online」アカウントを作成すると、ケースの進捗状況に関する自動通知を受け取ることができます。また、USCISの「Informed Delivery」サービスに登録することで、郵送物の追跡も可能になります。

グリーンカード取得後の権利と義務

グリーンカードを取得すると、米国永住者として多くの権利を享受できますが、同時にいくつかの義務も負うことになります。

権利

グリーンカード保持者は、米国内のどこでも自由に居住し、就労できます。雇用主のスポンサーシップは不要で、職業の選択も自由です。また、ほとんどの州で運転免許証を取得でき、社会保障番号を持ち、社会保障給付を受ける資格があります。

教育面では、公立学校に通う権利があり、多くの州では州内学生として大学の授業料を支払うことができます。また、連邦学生援助の一部を受ける資格もあります。

グリーンカード保持者は、財産を所有し、事業を営むことができます。また、一定の条件下で、配偶者や未婚の子供のためにグリーンカードを申請することもできます。

米国市民権を取得する資格も得られます。通常、グリーンカード取得から5年後(米国市民と結婚している場合は3年後)に市民権を申請できます。

義務

グリーンカード保持者は、米国を主たる居住地とする必要があります。長期間米国を離れると、永住権を放棄したとみなされる可能性があります。一般的に、6か月以上の海外滞在は問題となる可能性があり、1年以上の滞在は永住権の放棄とみなされる可能性が高くなります。

長期間海外に滞在する予定がある場合は、出発前にForm I-131(再入国許可証)を申請することが推奨されます。再入国許可証は、最大2年間の海外滞在を許可し、永住権を維持する意思があることを示す証拠となります。

すべての収入について、米国の連邦所得税、州税、地方税を申告し、納税する義務があります。これは、収入が米国内で得られたものか、海外で得られたものかに関わらず適用されます。

18歳から25歳の男性は、選択的徴兵制度(Selective Service System)に登録する必要があります。これは、緊急時に軍隊に召集される可能性があることを意味しますが、現在米国では徴兵制は実施されていません。

グリーンカードは10年ごとに更新する必要があります。更新を怠ると、永住権の証明ができなくなり、就労や旅行に支障をきたす可能性があります。更新申請はForm I-90を使用し、有効期限の6か月前から申請できます。

住所が変更になった場合は、10日以内にUSCISに通知する必要があります。これはForm AR-11を使用するか、オンラインで行うことができます。住所変更の通知を怠ると、重要な通知を受け取れなくなる可能性があります。

よくある質問

グリーンカードと市民権の違いは何ですか?

グリーンカード保持者は永住者ですが、米国市民ではありません。主な違いは、投票権の有無、パスポートの種類、国外退去のリスク、公職に就く資格などです。市民は投票権を持ち、米国パスポートを取得でき、国外退去されることはなく、ほとんどの公職に就くことができます。

グリーンカードを持っていれば、どのくらいの期間米国外に滞在できますか?

一般的に、6か月以内の海外滞在は問題ありませんが、6か月から1年の滞在は永住権の放棄とみなされる可能性があります。1年以上の滞在は、永住権を失うリスクが非常に高くなります。長期滞在の予定がある場合は、再入国許可証を申請することが推奨されます。

グリーンカードの更新を忘れた場合、どうなりますか?

グリーンカードの有効期限が切れても、永住権そのものは失われません。ただし、有効なグリーンカードがないと、就労や海外旅行に支障をきたします。できるだけ早くForm I-90を提出して更新手続きを行う必要があります。

犯罪歴があるとグリーンカードは取得できませんか?

犯罪の種類と重大性によります。軽微な違反は問題にならない場合が多いですが、重罪や道徳的堕落に関わる犯罪(詐欺、窃盗など)は、グリーンカード取得の障害となる可能性があります。また、既にグリーンカードを持っている場合でも、特定の犯罪を犯すと国外退去の対象となる可能性があります。

グリーンカード申請中に米国で働くことはできますか?

Form I-485(ステータス調整申請)を提出した後、Form I-765(就労許可申請)を提出することで、就労許可証(EAD:Employment Authorization Document)を取得できます。EADが承認されれば、グリーンカードの審査中でも合法的に就労できます。

配偶者のグリーンカードに依存している場合、離婚したらどうなりますか?

結婚に基づく条件付きグリーンカード(2年有効)を持っている場合、離婚は複雑な問題を引き起こす可能性があります。ただし、結婚が真実であったことを証明できれば、条件を解除できる場合があります。また、配偶者からの虐待があった場合は、VAWAに基づく保護を受けられる可能性があります。

日本の国籍は保持できますか?

日本は二重国籍を認めていないため、米国市民権を取得すると、日本国籍を失う可能性があります。ただし、グリーンカード(永住権)保持者は米国市民ではないため、日本国籍を保持し続けることができます。

まとめ

アメリカ永住権(グリーンカード)の取得は、複雑で時間のかかるプロセスですが、適切な準備と理解があれば、実現可能な目標です。本記事で解説した通り、グリーンカード取得には複数の方法があり、それぞれに独自の要件、費用、処理時間があります。

家族ベース、雇用ベース、投資ベース、抽選プログラムなど、自分の状況に最も適した方法を選択することが重要です。また、申請プロセスは複雑であり、書類の不備や手続きのミスは処理時間の延長や却下につながる可能性があるため、慎重に準備を進める必要があります。

費用面では、申請費用だけでなく、弁護士費用、翻訳費用、健康診断費用なども考慮に入れる必要があります。総合的に、数千ドルから数万ドルの費用がかかることを想定しておくべきです。

処理時間は、カテゴリーや個別の状況によって大きく異なりますが、数か月から数年かかることが一般的です。忍耐強く、定期的にケースの状況を確認しながら、プロセスを進めていくことが大切です。

グリーンカードを取得した後も、永住者としての義務を理解し、遵守することが重要です。米国を主たる居住地とし、税金を納め、法律を守ることで、永住権を維持し、将来的には市民権取得への道も開かれます。

免責事項: 本記事は、公開されている情報に基づいて作成された一般的なガイドです。私たちは法律事務所ではなく、ビザや永住権の申請支援を行っておりません。また、法的助言を提供するものでもありません。本記事は、公的に入手可能な情報を収集し、構造化して提示することを目的としています。個別のケースについては、必ず移民法専門の弁護士にご相談ください。移民法は複雑で頻繁に変更されるため、最新の情報はUSCISの公式ウェブサイトや専門家から入手することをお勧めします。

免責事項

この記事は教育目的のみであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な移住やビジネスの決定については、必ず認可された専門家(弁護士、会計士など)にご相談ください。

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