アメリカ国籍を取得するにはどうすればいいですか?
アメリカ国籍(市民権)の取得条件、帰化申請の手続き、必要書類、市民権テストの内容、費用、処理期間、日本国籍への影響を詳しく解説します。
Q&A
回答
アメリカ国籍を取得するにはどうすればいいですか?
アメリカ国籍(市民権)を取得するには、永住権(グリーンカード)を保持した状態で帰化申請(Naturalization)を行います。帰化申請にはForm N-400をUSCIS(米国市民権・移民局)に提出し、英語テスト・市民権テストに合格し、忠誠宣誓式に出席する必要があります。一般的な処理期間は申請から宣誓式まで約14〜18ヶ月、費用は$760(2026年3月時点)です。
アメリカ国籍(市民権)の取得条件とは?
アメリカ国籍を帰化(Naturalization)で取得するには、USCISが定める以下の条件をすべて満たす必要があります。帰化はアメリカ国籍取得の最も一般的な方法で、毎年約90万人が市民権を取得しています。
基本的な資格要件
| 条件 | 詳細 | |------|------| | 年齢 | 18歳以上であること | | 永住権の保持期間 | 永住権取得から5年以上(米国市民の配偶者は3年以上) | | 継続的居住(Continuous Residence) | 申請前の5年間(または3年間)米国に継続して居住していること | | 物理的滞在(Physical Presence) | 5年間のうち30ヶ月以上(3年ルールの場合は18ヶ月以上)米国に物理的に滞在していること | | 州の居住要件 | 申請するUSCIS管轄区の州に直前3ヶ月以上居住していること | | 善良な道徳的品性(Good Moral Character) | 過去5年間(または3年間)に重大な犯罪歴がないこと | | 英語能力 | 基本的な英語の読み書き・会話ができること | | 市民権テスト | 米国の歴史・政治に関する市民権テストに合格すること | | 憲法への忠誠 | 米国憲法の原則を支持し忠誠を誓う意思があること |
5年ルールと3年ルールの違い
帰化申請に必要な永住権の保持期間は、通常5年間です。ただし、米国市民の配偶者として永住権を取得し、婚姻関係を維持している場合は3年間に短縮されます。3年ルールを適用する場合、申請時点で婚姻関係が継続していることをUSCISに証明する必要があります。
継続的居住の注意点
帰化申請者が米国外に6ヶ月以上1年未満連続して滞在した場合、継続的居住が中断したとみなされる可能性があります。1年以上米国外に滞在した場合は、原則として継続的居住の要件を満たさなくなります。長期出国が必要な場合は、出国前にForm N-470(Application to Preserve Residence for Naturalization Purposes)を提出することで居住要件を維持できる場合があります。
帰化申請の手続き(ステップバイステップ)
アメリカ市民権の帰化申請は、以下の8ステップで進みます。全体の所要期間はUSCISの処理状況によりますが、2026年時点で平均14〜18ヶ月です。
-
資格の確認 — USCISの「Naturalization Eligibility Worksheet」を使用して、自身がすべての条件を満たしているか確認します
-
Form N-400の提出 — USCISのオンラインアカウントまたは郵送でForm N-400(Application for Naturalization)を提出します。申請料$760も同時に支払います
-
受領通知の受取 — USCISがForm N-400を受理すると、受領通知(Receipt Notice / Form I-797C)が届きます。この通知に記載された受領番号で処理状況を追跡できます
-
バイオメトリクス(生体認証) — USCISから指定された日時にApplication Support Center(ASC)で指紋採取・写真撮影・署名を行います。この情報はFBIによる身元調査に使用されます
-
面接(Interview) — USCISオフィスで移民審査官による面接を受けます。面接では申請書の内容確認、英語テスト、市民権テストが実施されます
-
英語・市民権テスト — 面接と同日に実施されます。英語テスト(読み・書き・話す能力)と市民権テスト(米国の歴史・政治に関する質問10問中6問正解で合格)を受験します
-
審査結果の通知 — 面接後、USCISから「承認(Granted)」「継続(Continued)」「不承認(Denied)」のいずれかが通知されます
-
忠誠宣誓式(Oath of Allegiance Ceremony) — 承認後、宣誓式に出席して忠誠の宣誓を行います。宣誓式で帰化証明書(Certificate of Naturalization)を受け取った時点で正式にアメリカ市民となります
市民権テスト(Civics Test)の内容は?
市民権テストは、米国の歴史・政治に関する100問のリストから10問が出題され、6問以上正解で合格です。USCISが100問の公式リストを公開しており、事前に学習できます。テストは口頭形式で、移民審査官が質問を読み上げ、申請者が口頭で回答します。
出題カテゴリー
| カテゴリー | 問題数 | 主なトピック | |-----------|--------|------------| | アメリカの政府原則 | 12問 | 民主主義、憲法、権利章典、法の支配 | | 政府の仕組み | 35問 | 三権分立、連邦議会、大統領、最高裁判所 | | 権利と責任 | 10問 | 選挙権、納税義務、陪審義務 | | 植民地時代〜独立 | 15問 | 独立宣言、独立戦争、建国の父 | | 1800年代 | 10問 | 南北戦争、リンカーン、領土拡大 | | 近現代史 | 8問 | 世界大戦、公民権運動、9/11 | | 地理・シンボル | 10問 | 首都、国旗、国歌、自由の女神 |
英語テストの内容
英語テストは「読む」「書く」「話す」の3技能で評価されます。読解テストでは、市民権に関する1〜3文を正しく音読します。筆記テストでは、審査官が読み上げた1〜3文を正しく書き取ります。会話能力は面接全体を通じて評価されます。英語テストの難易度はCEFR A2〜B1程度(英検準2級〜2級程度)で、日常会話ができるレベルが求められます。
テスト免除の条件
英語テストは、50歳以上で永住権を20年以上保持している場合(50/20ルール)、または55歳以上で永住権を15年以上保持している場合(55/15ルール)に免除されます。免除が適用された場合でも、市民権テストは母国語(日本語)で受験する必要があります。身体的・精神的障害がある場合は、Form N-648を提出することで両テストの免除を申請できます。
帰化申請にかかる費用はいくら?
帰化申請の総費用は$760(2026年3月時点)です。この内訳は、Form N-400の申請料$710とバイオメトリクス(生体認証)サービス料$85です。ただし、2024年4月1日のUSCIS料金改定により、バイオメトリクス料は申請料に統合されたため、現在の申請料は$760(一括)です。
費用の詳細
| 項目 | 費用 | |------|------| | Form N-400 申請料 | $760 | | バイオメトリクス料 | 申請料に含まれる | | 減額申請(Fee Waiver) | 世帯収入が連邦貧困ガイドラインの150%以下の場合、申請料が免除される(Form I-912) | | 減額料金 | 世帯収入が連邦貧困ガイドラインの150〜200%の場合、$380に減額 | | 軍務経験者 | 現役または退役軍人は申請料免除 |
追加でかかる可能性のある費用
帰化申請料以外に、弁護士費用($1,500〜$5,000程度)、パスポート写真代($15〜$20)、帰化後の米国パスポート申請料($165)などが発生する場合があります。移民弁護士への依頼は必須ではありませんが、犯罪歴がある場合や申請要件に不安がある場合は専門家への相談が推奨されます。
帰化申請の処理期間はどのくらい?
帰化申請(Form N-400)の処理期間は、2026年3月時点で平均14〜18ヶ月です。処理期間はUSCISの管轄オフィスによって大きく異なり、都市部のオフィスでは待ち時間が長くなる傾向があります。
処理期間の内訳(目安)
| ステップ | 所要期間 | |---------|---------| | 申請受理〜バイオメトリクス | 2〜4週間 | | バイオメトリクス〜面接 | 8〜14ヶ月 | | 面接〜宣誓式 | 数日〜数ヶ月 | | 合計 | 約14〜18ヶ月 |
処理を早める方法
USCISの処理が規定の期間を超過した場合、Case Inquiryをオンラインで提出するか、USCISコンタクトセンター(1-800-375-5283)に問い合わせることができます。また、国会議員のオフィスを通じてUSCISに照会を依頼する方法もあります。帰化申請にはプレミアムプロセッシング(優先処理)は適用されません。
日本国籍への影響(二重国籍問題)
アメリカ国籍を取得すると、日本の国籍法の規定により日本国籍を喪失します。日本の国籍法第11条第1項は「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と規定しています。アメリカの帰化申請は「自己の志望」による外国籍取得に該当するため、帰化の時点で日本国籍は自動的に喪失します。
日本国籍喪失後の手続き
日本国籍を喪失した場合、在米日本国大使館または領事館に「国籍喪失届」を提出する義務があります。届出期限は国籍喪失の事実を知った日から1ヶ月以内です。届出後、日本のパスポートは失効し、日本への入国にはビザまたは短期滞在の在留資格が必要となります。
日本国籍喪失の影響
日本国籍を喪失すると、日本での選挙権・被選挙権を失い、日本の年金受給資格にも影響が出る可能性があります。日本の不動産を所有している場合、外国人としての所有は引き続き可能ですが、相続税や固定資産税の取り扱いが変わる場合があります。日本への訪問は、アメリカ国民として90日間のビザなし短期滞在が認められます。
アメリカ側の二重国籍の取り扱い
アメリカは二重国籍を法律上禁止していませんが、積極的に推奨もしていません。帰化の宣誓式では外国への忠誠を放棄する宣誓を行いますが、これは相手国の国籍を自動的に喪失させるものではありません。日本国籍の喪失は日本の国籍法に基づく日本側の措置です。
アメリカ市民権とグリーンカード(永住権)の違い
アメリカ市民権(国籍)とグリーンカード(永住権)は、いずれも米国に長期滞在する資格ですが、権利と義務に大きな違いがあります。市民権は永住権の上位に位置し、より多くの権利が付与されます。
| 項目 | 市民権(国籍) | グリーンカード(永住権) | |------|--------------|----------------------| | 選挙権 | あり(連邦・州・地方選挙すべて) | なし | | 連邦政府の職 | 応募可能(大統領を除く) | 制限あり | | 国外滞在 | 制限なし(長期滞在可) | 1年以上の国外滞在で永住権喪失のリスク | | 強制退去(Deportation) | 原則なし | 犯罪歴等により強制退去の可能性あり | | 家族の呼び寄せ | 配偶者・子供・親・兄弟が対象(優先順位高い) | 配偶者・未婚の子供のみ(待ち時間が長い) | | パスポート | 米国パスポート取得可能 | 出身国のパスポートを使用 | | 陪審義務 | あり | なし | | 更新 | 不要(生涯有効) | 10年ごとにグリーンカードの更新が必要 | | 日本国籍 | 喪失する | 維持できる | | 取得費用 | $760(N-400) | カテゴリーにより異なる($1,140〜$3,005+) |
よくある質問(FAQ)
永住権を取得してからどのくらいで帰化申請できますか?
永住権取得から5年経過後に帰化申請が可能です。米国市民の配偶者として永住権を取得した場合は3年後から申請できます。なお、申請書はUSCISの規定により、5年(または3年)の到達日の90日前から提出できます。
帰化申請中に日本に一時帰国できますか?
帰化申請中でも日本への一時帰国は可能です。ただし、申請中に6ヶ月以上連続して米国外に滞在すると、継続的居住の要件が中断される可能性があります。短期の一時帰国(2〜3週間程度)であれば、帰化審査に影響を与えることは通常ありません。
市民権テストに不合格になった場合はどうなりますか?
市民権テストに不合格の場合、最初の面接日から60〜90日以内に1回だけ再試験の機会が与えられます。再試験では、不合格になったテスト(英語テストまたは市民権テストのいずれか、あるいは両方)のみを受け直します。2回目も不合格の場合、Form N-400は不承認となり、再度$760を支払って新規申請する必要があります。
帰化申請に英語力は必須ですか?
帰化申請には基本的な英語力が必要ですが、免除規定があります。50歳以上で永住権を20年以上保持(50/20ルール)、または55歳以上で永住権を15年以上保持(55/15ルール)している場合、英語テストは免除されます。免除の場合、市民権テストは通訳を通じて日本語で受験できます。
アメリカ国籍を取得した後に日本国籍を取り戻せますか?
アメリカ国籍取得により日本国籍を喪失した場合、日本国籍を再取得するには法務大臣の許可による「帰化」(日本への帰化)が必要です。日本への帰化には、日本に5年以上住所を有することなど厳格な要件があり、簡単には取り戻せません。20歳未満で日本国籍を喪失した場合に限り、日本に住所を定めた上でForm届出により国籍を再取得できる特例があります。
犯罪歴があっても帰化申請できますか?
軽微な交通違反(駐車違反、スピード違反など)は帰化申請に影響しません。ただし、DUI(飲酒運転)、窃盗、暴行などの犯罪歴がある場合、善良な道徳的品性(Good Moral Character)の要件に影響する可能性があります。殺人罪で有罪判決を受けた場合は永久に帰化申請資格を失います。犯罪歴がある場合は、申請前に移民弁護士に相談することを強く推奨します。
帰化申請が不承認になった場合、どうすればよいですか?
帰化申請が不承認(Denied)になった場合、不承認通知の受領日から30日以内にForm N-336(Request for a Hearing on a Decision in Naturalization Proceedings)を提出して不服申立てを行うことができます。Form N-336の申請料は$700です。不服申立ての審理でも不承認が維持された場合、連邦地方裁判所への司法審査(Judicial Review)を請求することも可能です。
免責事項
この回答は教育目的のみであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な移住やビジネスの決定については、必ず認可された専門家(弁護士、会計士など)にご相談ください。情報は執筆時点のものであり、法律や規制は変更される可能性があります。