重要なお知らせ:このウェブサイトは教育目的のみです。法的助言や法的サービスを提供するものではありません。

移住・生活

アメリカの移民制度はどのような仕組みですか?

アメリカの移民制度の仕組み、移民の種類、永住権とビザの違い、年間受入数、主要な移民法、日本人移民の現状を分かりやすく解説します。

Daniel Aydin

Daniel Aydin監修

Plansera AI 創業者 / 法学士・移民法実務家

更新 2026年3月15日22 min read

回答

アメリカの移民制度はどのような仕組みですか?

アメリカの移民制度は、移民国籍法(Immigration and Nationality Act / INA)を基盤とし、家族呼び寄せ・雇用ベース・抽選・難民の4つのカテゴリーで合法的永住者(グリーンカード保持者)を毎年約100万人受け入れる世界最大規模の移民システムです。2024会計年度(FY2024)には約1,145,000件のグリーンカードが発給され、アメリカは世界で最も多くの移民を受け入れる国であり続けています。

アメリカ移民の4つの主要カテゴリーとは?

アメリカの移民制度は、永住権(グリーンカード)の取得経路として大きく4つのカテゴリーに分類されます。各カテゴリーには年間発給枠が設定されており、合計で年間約67万5,000件の数値制限が適用されます。

1. 家族ベース移民(Family-Based Immigration)

家族ベース移民は、アメリカの移民全体の約60〜70%を占める最大のカテゴリーです。米国市民または永住権保持者の家族が対象となります。

近親家族(Immediate Relatives) には数値制限がなく、米国市民の配偶者・21歳未満の未婚の子・親が該当します。2024会計年度には約55万件の近親家族ビザが発給されました。

家族優先カテゴリー(Family Preference) には年間約23万件の数値制限があり、以下の4つの優先順位が設けられています。

優先順位対象者年間枠
F1米国市民の未婚の成人子(21歳以上)約23,400件
F2A永住権保持者の配偶者と未婚の子(21歳未満)約87,900件
F2B永住権保持者の未婚の成人子(21歳以上)約26,300件
F3米国市民の既婚の成人子約23,400件
F4米国市民の兄弟姉妹約65,000件

2. 雇用ベース移民(Employment-Based Immigration)

雇用ベース移民には年間約14万件の数値制限があり、5つの優先カテゴリーに分かれています。専門的な技能や投資を通じてアメリカ経済に貢献する外国人を対象とします。

カテゴリー対象特徴
EB-1卓越した能力者・教授・多国籍企業管理職労働許可証(PERM)不要
EB-2高学位専門職・特別な能力保持者NIW(国益免除)あり
EB-3専門職・熟練労働者・非熟練労働者PERM必要
EB-4特別移民(宗教者など)特殊カテゴリー
EB-5投資家(80万〜105万ドル投資)10名の雇用創出が条件

EB-5投資家ビザプログラムでは、目標雇用地域(TEA)への投資は最低80万ドル、それ以外の地域では105万ドルの投資が必要です(2024年3月15日現在の基準額)。

3. 多様性ビザ抽選プログラム(Diversity Visa Lottery / DVプログラム)

多様性ビザ抽選プログラム(通称グリーンカード抽選)は、移民送出数が少ない国の国民に年間最大55,000件のグリーンカードを抽選で発給する制度です。日本はこのプログラムの対象国であり、日本人は毎年応募資格があります。

DVプログラムの応募条件は、対象国の出身であること、および高校卒業以上の学歴または2年以上の職業経験(過去5年以内)を持つことです。応募は毎年10月〜11月の約1か月間にオンラインで行われ、応募料は無料です。

4. 難民・亡命者(Refugees and Asylees)

アメリカは毎年、大統領が定める受入上限数に基づき難民を受け入れています。2025会計年度の難民受入上限は125,000人に設定されています。難民認定または亡命許可を受けた者は、1年後にグリーンカードを申請できます。

難民(Refugee)は米国外から申請し、亡命者(Asylee)は米国内または入国港で申請します。いずれも迫害を受けるおそれがあることを証明する必要があります。

永住権(グリーンカード)と非移民ビザの違いは?

永住権(グリーンカード)と非移民ビザは、滞在目的・期間・権利が根本的に異なります。永住権は米国に無期限で居住・就労できる資格であり、非移民ビザは一時的な滞在許可です。

項目永住権(グリーンカード)非移民ビザ
滞在期間無期限(10年ごとにカード更新)ビザ種類により数か月〜数年
就労制限なし(どの雇用主でも就労可)特定の雇用主・職種に限定
市民権への道5年後に帰化申請可能直接の道なし
更新カード更新のみ(永住資格は継続)ビザ延長・更新手続きが必要
国外滞在1年以上の国外滞在で喪失リスクビザ種類による
取得難易度高い(数か月〜数年待ち)種類により異なる

非移民ビザの主な種類として、H-1B(専門職就労)、L-1(企業内転勤)、E-2(条約投資家)、F-1(留学)、B-1/B-2(商用/観光)などがあります。非移民ビザ保持者が永住権を取得するには、別途グリーンカードの申請手続きが必要です。

アメリカの移民を管轄する主要機関は?

アメリカの移民制度は、複数の連邦政府機関が役割を分担して運営しています。移民手続きの種類によって管轄機関が異なるため、正しい機関に申請・問い合わせすることが重要です。

機関名略称主な役割
米国市民権・移民局USCISグリーンカード・帰化・就労許可の審査
国務省領事局DOS海外でのビザ発給・面接
税関・国境取締局CBP入国審査・国境管理
移民・関税執行局ICE移民法の国内執行・強制退去
移民審査庁EOIR移民裁判所の運営・退去手続き

USCIS(米国市民権・移民局)は、移民手続きの中心的な機関です。グリーンカード申請(Form I-485)、労働許可証(EAD)申請、帰化申請(Form N-400)などの審査を担当しています。USCISの公式サイト(uscis.gov)では、申請状況の確認や処理時間の照会が可能です。

国務省(DOS)は、米国外からのビザ申請を管轄しています。在外米国大使館・領事館でのビザ面接と発給、およびビザブレティン(Visa Bulletin)による優先日の公表を毎月行っています。

アメリカ移民法の歴史と主要な法律は?

アメリカの移民法は200年以上の歴史があり、時代ごとの社会情勢を反映して大きく変化してきました。現在の移民制度を理解するには、主要な移民法の流れを把握することが重要です。

法律名主な内容
1882年中国人排斥法初の移民制限法。中国人労働者の入国を禁止
1924年移民法(ジョンソン=リード法)国別割当制度を導入。アジアからの移民を事実上禁止
1952年移民国籍法(INA / マッカラン=ウォルター法)現行移民法の基礎。国別割当を維持しつつアジア排斥を廃止
1965年移民国籍法改正(ハート=セラー法)国別割当を撤廃。家族呼び寄せと技能を重視する現行制度の原型
1986年移民改革管理法(IRCA)約270万人の不法滞在者に合法化の道を提供
1990年移民法改正雇用ベース移民を拡大。DVプログラムを創設
2002年国土安全保障法INSを廃止し、USCIS・CBP・ICEの3機関に再編
2022年EB-5改革・誠実法EB-5プログラムを2027年9月まで再承認。投資額を改定

1965年のハート=セラー法(Hart-Celler Act)は、アメリカの移民制度を根本的に変えた法律です。出身国による差別的な割当制度を撤廃し、家族統合と職業技能を基準とする現在の移民制度の基盤を築きました。この法律により、アジアやラテンアメリカからの移民が大幅に増加しました。

日本人のアメリカ移民の現状は?

アメリカに住む日本人・日系人の人口は約150万人(2020年米国国勢調査)であり、そのうち日本生まれの在米日本人は約45万人です。日本人は毎年約5,000〜7,000件のグリーンカードを取得しており、その多くは家族ベースまたは雇用ベースの移民カテゴリーによるものです。

日本人がアメリカで永住権を取得する主なルートは以下の通りです。

  • 家族ベース: 米国市民との結婚が最も一般的な経路。配偶者ビザ(CR-1/IR-1)を経てグリーンカードを取得
  • 雇用ベース: H-1BやL-1ビザからEB-2/EB-3カテゴリーでの永住権申請。日本人は優先日の待ち時間が比較的短い
  • 投資家ビザ: E-2ビザで事業運営後、EB-5プログラムで永住権を目指すルート
  • DVプログラム: 日本は対象国のため毎年応募可能。年間数百人の日本人が当選

カリフォルニア州(特にロサンゼルス)、ハワイ州、ニューヨーク州、テキサス州は、日本人コミュニティが大きい州です。ロサンゼルスのリトル・トーキョー、ハワイのホノルルには歴史的な日系コミュニティがあり、日本語での生活サポートや日系企業のネットワークが充実しています。

アメリカの年間移民受入数はどのくらい?

アメリカは毎年約100万件のグリーンカード(永住権)を新規発給しています。2024会計年度(FY2024)の合法的永住者(LPR)の新規受入数は約1,145,000人で、過去10年間の年間平均は約100万人です。

移民の出身国別では、メキシコ、インド、中国、フィリピン、ドミニカ共和国が上位5か国を占めています。日本からの移民数は全体の約0.5〜0.7%にあたります。

近年の年間グリーンカード発給数(概数):

会計年度発給数備考
FY2020約707,000件COVID-19の影響で大幅減少
FY2021約740,000件パンデミック回復期
FY2022約1,018,000件正常化に向けて回復
FY2023約1,100,000件未処理分の解消進む
FY2024約1,145,000件過去最高水準に近い

アメリカの合法的永住者の総数は約1,350万人(2023年時点)であり、米国総人口の約4%を占めています。帰化して米国市民となった元移民は約2,350万人おり、合法移民と帰化市民を合わせると米国人口の約11%が外国生まれです。

移民に関する主要用語の解説

アメリカの移民制度には多くの専門用語があります。主要な用語を正確に理解することで、移民手続きをスムーズに進められます。

用語(日本語)用語(英語)意味
永住権Permanent Residence米国に無期限で居住・就労できる資格
グリーンカードGreen Card (Form I-551)永住権を証明するカード。正式名称は「永住者カード」
帰化Naturalization永住者が米国市民権を取得する手続き
優先日Priority Date移民申請の受付日。ビザの順番を決定する
ビザブレティンVisa Bulletin国務省が毎月発表する移民ビザの優先日情報
労働許可証Employment Authorization Document (EAD)就労を許可する文書
条件付き永住権Conditional Permanent Residence結婚2年以内の配偶者等に発行される2年間の永住権
強制退去Deportation / Removal移民法違反者を米国から退去させる手続き
不法滞在Unlawful Presenceビザの有効期限を超えて米国に滞在すること
出国命令Voluntary Departure自主的に出国することで強制退去の記録を回避する措置

「移民(Immigrant)」という用語は、法的にはグリーンカード保持者(合法的永住者)を指します。非移民ビザ保持者(留学生、一時就労者など)は法的には「非移民(Nonimmigrant)」に分類されます。一般的な会話では両者を区別せず「移民」と呼ぶことがありますが、移民法上は明確に異なる地位です。

よくある質問(FAQ)

アメリカに移民するにはどのくらいの期間がかかりますか?

アメリカへの移民にかかる期間は、カテゴリーと出身国によって大きく異なります。米国市民の配偶者(近親家族)は約12〜18か月で永住権を取得できますが、家族優先カテゴリーF4(米国市民の兄弟姉妹)は15〜23年の待ち時間が発生する場合があります。雇用ベースのEB-2/EB-3カテゴリーでは、日本人は通常1〜3年程度で永住権を取得できます。

グリーンカードと市民権(国籍)の違いは何ですか?

グリーンカード保持者(永住者)は米国に無期限で居住・就労できますが、選挙権がなく、一部の政府職への就任が制限されます。永住権取得後5年(米国市民の配偶者は3年)で帰化申請が可能になり、米国市民権を取得すると選挙権・被選挙権が得られ、米国パスポートが発行されます。日本は二重国籍を認めていないため、日本人が米国に帰化する場合は日本国籍の喪失届を提出する必要があります。

DVプログラム(グリーンカード抽選)の当選確率はどのくらいですか?

DVプログラムの当選確率は、応募総数と対象国の応募者数によって変動します。近年の全体当選率は約0.3〜0.5%(応募者約1,500万人に対し当選者約55,000人)です。日本からの応募者は毎年約5万〜8万人と推定されており、日本人の当選者数は年間約300〜500人程度です。当選しても、面接・審査を経てグリーンカードが発給されるのは当選者の約40〜50%です。

不法移民とはどのような状態ですか?

不法移民(Undocumented Immigrants)とは、有効な移民資格を持たずにアメリカに滞在している外国人を指します。2023年時点でアメリカには推定約1,100万人の不法移民が滞在していると言われています。不法移民となる主な経路は、ビザなしでの不法入国と、合法的に入国した後のビザ超過滞在(オーバーステイ)の2つです。不法滞在は、将来の合法的な入国やビザ取得に重大な影響を及ぼします。

移民弁護士に依頼する必要はありますか?

移民弁護士への依頼は法的義務ではありませんが、複雑な移民手続きでは専門家のサポートが強く推奨されます。特に、雇用ベースの永住権申請、強制退去手続き、過去に移民法違反がある場合、ウェイバー(免除申請)が必要な場合は、経験豊富な移民弁護士に依頼することで申請の成功率が大幅に向上します。移民弁護士の費用は、案件の種類により$1,500〜$15,000以上が一般的です。

日本人がアメリカに移民する最も一般的な方法は何ですか?

日本人がアメリカに移民する最も一般的な方法は、米国市民との結婚による家族ベース移民です。次いで多いのが、H-1Bビザ(専門職就労ビザ)やL-1ビザ(企業内転勤ビザ)からの雇用ベース移民です。日本人は雇用ベース移民カテゴリーでの優先日の待ち時間が短いため、インドや中国出身者と比較して比較的短期間で永住権を取得できる傾向があります。

アメリカの移民政策は今後どう変わる可能性がありますか?

アメリカの移民政策は大統領の方針や議会の立法によって大きく変動する分野です。2026年3月現在、雇用ベース移民の拡大、国別発給枠の見直し、DACA(幼少期に入国した不法移民の救済措置)の法制化、EB-5プログラムの改革などが議論されています。移民政策の最新情報は、USCIS公式サイト(uscis.gov)および国務省ビザブレティンで確認することが重要です。

アメリカ移民移民制度移民法永住権移民政策

この回答の監修者

Daniel Aydin

Daniel Aydinダニエル・アイディン

Plansera AI 創業者 / 法学士・移民法実務家

Daniel Aydin(ダニエル・アイディン)は、AIによる事業計画書作成サービス「Plansera AI」の創業者です。Eastern Mediterranean University 法学部卒(法学士)。米国テキサス州ダラスの移民法律事務所で LegalTech・成長責任者を務め、E-2ビザをはじめとする数多くの移民・起業案件の実務に携わってきました。さらに Gusto(Y Combinator 出身のユニコーン企業)や RemoteTeam.com で国際労務・コンプライアンスの法務コンサルタントを歴任。法律とテクノロジーの両分野の知見を活かし、日本人起業家のアメリカ進出を支援しています。

免責事項

この回答は教育目的のみであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な移住やビジネスの決定については、必ず認可された専門家(弁護士、会計士など)にご相談ください。情報は執筆時点のものであり、法律や規制は変更される可能性があります。

関連する質問