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Lビザ(駐在員ビザ)完全ガイド|L-1A/L-1B申請条件・手続き
ビジネス

Lビザ(駐在員ビザ)完全ガイド|L-1A/L-1B申請条件・手続き

Omer Aydin
18 min read

Lビザ(駐在員ビザ)完全ガイド|L-1A/L-1B申請条件・手続き

はじめに:Lビザ(駐在員ビザ)とは

Lビザ(正式名称:企業内転勤者ビザ、Intracompany Transferee Visa)は、国際的な企業グループ内で、役員、管理職、または高度な専門知識を持つ従業員を、海外の関連会社から米国内の関連会社へ一時的に転勤させるために設けられた非移民ビザです [1]。

このビザは、グローバルに事業を展開する企業にとって、人材の流動性を確保し、国際的な事業戦略を円滑に実行するための極めて重要なツールとなります。Lビザは、転勤者の職務内容に応じて、以下の2種類に分類されます。

  • L-1Aビザ: 役員(Executive)または管理職(Managerial Capacity)として転勤する者を対象とします。
  • L-1Bビザ: 企業独自の専門知識(Specialized Knowledge)を持つ従業員として転勤する者を対象とします。

本ガイドでは、米国移民局(USCIS)の公式情報に基づき、L-1AおよびL-1Bビザの申請条件、手続き、滞在期間、そして家族の帯同(L-2ビザ)に関する詳細を網羅的に解説します。

Lビザの共通申請条件

Lビザの申請は、米国に所在する雇用主(請願会社)が、転勤者(受益者)のために請願書(Form I-129)を提出することから始まります。Lビザの資格を得るためには、**雇用主(会社)被転勤者(従業員)**の双方に共通の要件が課されます [2]。

1. 雇用主(会社)の要件

Lビザの請願を行う米国企業は、以下の要件を満たす必要があります。

(1) 適格な関係(Qualifying Relationship)

請願を行う米国企業は、転勤者が以前勤務していた海外の企業と、以下のいずれかの「適格な関係」にある必要があります。

  • 親会社(Parent)
  • 支店(Branch)
  • 子会社(Subsidiary)
  • 関連会社(Affiliate)

この関係は、請願期間中および転勤者の米国滞在期間中、継続して維持されなければなりません。

(2) 事業の継続性(Doing Business)

請願会社と海外の関連会社は、米国および少なくとも一つの外国で、継続的かつ体系的に商品やサービスの提供を行っている必要があります。単に米国に代理人や事務所が存在するだけでは不十分であり、活発な事業活動が求められます。

2. 被転勤者(従業員)の要件

Lビザの転勤者となる従業員は、以下の2つの主要な要件を満たす必要があります。

(1) 過去1年間の継続的な海外勤務

転勤者は、米国への入国申請を行う直前の3年間のうち、海外の関連会社で継続して1年以上、役員、管理職、または専門知識保持者としての資格のある立場で勤務していた必要があります [2]。この「継続して1年間」の要件は、フルタイムでの勤務を指します。

(2) 米国での役職

転勤者は、米国に転勤後、海外での役職と同等、またはそれ以上の資格のある立場で勤務することが求められます。

L-1Aビザ:役員・管理職(Executive or Manager)

L-1Aビザは、企業内転勤者の中でも、役員または管理職の地位に就く者を対象としています。

1. 役員能力(Executive Capacity)の定義

役員能力とは、一般的に、広範な裁量権を持ち、ほとんど監督を受けずに意思決定を行う従業員の能力を指します [3]。具体的には、以下の職務が含まれます。

  • 組織または主要な構成要素の運営を指揮すること。
  • 組織の目標と政策を設定すること。
  • 組織の最高レベルの管理職、または取締役会から広範な権限を委任されていること。
  • 組織の運営において、最終的な意思決定を行うこと。

2. 管理職能力(Managerial Capacity)の定義

管理職能力とは、以下のいずれかの能力を指します [3]。

  • 組織、部門、下位部門、機能、または構成要素を管理すること。
  • 他の専門職の従業員、または管理職の従業員を監督し、管理すること。
  • 組織内の必須機能(Essential Function)を、直接的な監督なしに高レベルで管理すること。

重要な点として、管理職の職務には、日常的な業務の遂行ではなく、管理・監督業務が主であることが求められます。

3. 新規事務所(New Office)の特例(L-1A)

米国に新しく設立されたばかりで、まだ事業を開始していない、または1年未満の事業実績しかない事務所(New Office)へ転勤する場合、L-1Aビザの初期滞在期間は1年間に限定されます [4]。

この場合、請願会社は、以下の追加要件を満たす必要があります。

  • 新事務所のために十分な物理的施設を確保していること。
  • 転勤者が役員または管理職として勤務し、1年以内にその事務所が事業を支援できる状態になることを示す詳細な事業計画を提出すること。
  • 従業員を雇用し、事業を運営するための財務能力があること。

L-1Bビザ:専門知識保持者(Specialized Knowledge)

L-1Bビザは、企業独自の専門知識を持つ従業員を対象としています。

1. 専門知識(Specialized Knowledge)の定義

専門知識とは、以下のいずれかを意味します [5]。

  • 請願組織の製品、サービス、研究、設備、技術、管理、その他の利益、およびそれらの国際市場での応用に関する、個人が持つ特別な知識
  • 組織のプロセスや手順に関する高度なレベルの知識または専門性

この知識は、単なる一般常識や業界標準の知識ではなく、その企業特有の、他の従業員には容易に得られない、または訓練に時間と費用がかかるような、独自の価値を持つ知識である必要があります。

2. 新規事務所(New Office)の特例(L-1B)

L-1Aと同様に、L-1Bビザの転勤者が新規事務所へ転勤する場合、初期滞在期間は1年間に限定されます [4]。この場合も、請願会社は、事業計画や財務能力を示す必要があります。

L-1AとL-1Bの比較

L-1AとL-1Bの主な違いを以下の表にまとめます。

| 項目 | L-1A(役員・管理職) | L-1B(専門知識保持者) | | :--- | :--- | :--- | | 対象職務 | 役員または管理職 | 企業独自の専門知識を持つ者 | | 初期滞在期間 | 最長3年間(新規事務所は1年間) | 最長3年間(新規事務所は1年間) | | 最大滞在期間 | 合計7年間 | 合計5年間 | | 永住権への移行 | 比較的容易(EB-1Cカテゴリー) | 労働証明(PERM)が必要な場合が多い | | 配偶者の就労 | L-2ビザで就労可能 | L-2ビザで就労可能 |

Lビザの滞在期間と延長

Lビザの滞在期間は、L-1AとL-1Bで異なります。

1. 初回請願と延長

  • 初回請願: 通常、最長3年間の滞在が許可されます。ただし、新規事務所の場合は1年間です [4]。
  • 延長: 延長申請(Form I-129)は、通常、2年間ずつ許可されます。

2. 最大滞在期間

  • L-1A: 最大滞在期間は、合計7年間です。
  • L-1B: 最大滞在期間は、合計5年間です。

この最大期間に達した後、転勤者は米国を離れ、1年間海外に滞在しない限り、LビザまたはHビザ(専門職ビザ)などの他の主要な非移民就労ビザを再申請することはできません(1年間の国外滞在ルール)。

L-2ビザ:家族の帯同と就労許可

L-1ビザ保持者の配偶者および21歳未満の未婚の子どもは、L-2非移民ビザで米国に帯同することができます [6]。

1. L-2配偶者の就労許可(EAD)

L-2ビザを持つ配偶者(L-2S)は、米国での就労が許可されています。就労するためには、就労許可証(Employment Authorization Document, EAD)を申請し、取得する必要があります(Form I-765) [6]。EADを取得すれば、雇用主を問わず、米国で合法的に働くことができます。

2. L-2子どものステータス

L-2ビザを持つ子どもは、米国での就学は可能ですが、就労は許可されていません。21歳に達すると、L-2ステータスを維持できなくなるため、他の非移民ステータス(例:F-1学生ビザ)への変更が必要になります。

Lビザ申請手続きのステップ

Lビザの申請は、主に以下の2つの方法があります。

1. 個別請願(Individual Petition)

ほとんどの企業がこの方法を用います。

  1. 請願書の提出: 米国雇用主がUSCISにForm I-129(請願書)と補足書類を提出します。
  2. USCISの承認: USCISが請願を承認すると、Form I-797(承認通知)が発行されます。
  3. ビザ申請: 転勤者が海外の米国大使館または領事館で非移民ビザ(L-1AまたはL-1B)を申請します。

2. 包括請願(Blanket Petition)

大規模な多国籍企業向けに設計された簡略化された手続きです。

  • 資格: 過去1年間でL-1ビザを10件以上承認されている、米国での年間売上が2,500万ドル以上、または米国従業員が1,000人以上などの要件があります。
  • 手続き: 企業が包括請願(Form I-129Sを添付したForm I-129)を承認された後、個々の転勤者は直接大使館/領事館でビザを申請できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. Lビザの申請にかかる期間はどれくらいですか?

A1. USCISの処理時間は変動しますが、通常、個別請願の審査には数ヶ月かかります。プレミアム・プロセッシング(追加料金を支払い、15暦日以内に審査結果を得るサービス)を利用することで、審査期間を大幅に短縮できます。

Q2. Lビザから永住権(グリーンカード)への移行は可能ですか?

A2. はい、可能です。特にL-1Aビザ保持者は、**EB-1C(多国籍企業の役員・管理職)**というカテゴリーを通じて、労働証明(PERM)が不要なため、比較的スムーズに永住権を申請できる可能性があります。L-1B保持者も、他の就労ベースの永住権カテゴリー(例:EB-2、EB-3)を通じて申請できますが、通常はPERMが必要です。

Q3. Lビザの却下率が高いのはなぜですか?

A3. Lビザ、特にL-1Bの却下率は、近年高まる傾向にあります。主な却下理由としては、「専門知識」の定義を満たしていないと判断されるケースや、新規事務所の「事業計画」や「財務能力」が不十分であると見なされるケースが挙げられます。請願書では、職務内容と専門知識の独自性を具体的かつ説得力をもって証明することが不可欠です。

Q4. Lビザの申請費用はいくらですか?

A4. 申請費用は、請願の種類や利用するサービスによって異なります。主な費用には、Form I-129の申請費用、詐欺防止・検出費用(Fraud Prevention and Detection Fee)、必要に応じてプレミアム・プロセッシング費用、そして大使館でのビザ面接費用(MRV Fee)が含まれます。包括請願の場合は、追加の費用が発生することもあります。

法的免責事項(Legal Disclaimer)

本記事は、一般的な情報提供のみを目的としており、特定の法律的アドバイスを構成するものではありません。 米国の移民法は複雑であり、頻繁に改正されます。個別の状況に関するご質問や、ビザ申請に関する具体的なアドバイスについては、必ず米国移民法を専門とする弁護士にご相談ください。本記事の情報に基づいて行動したことにより生じた損害について、筆者および当事務所は一切の責任を負いません。


参照情報(References)

[1] USCIS. L-1A Intracompany Transferee Executive or Manager. [URL: https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/l-1a-intracompany-transferee-executive-or-manager] [2] USCIS Policy Manual. Part L - Intracompany Transferees (L). [URL: https://www.uscis.gov/policy-manual/volume-2-part-l] [3] USCIS. Executive and Managerial Capacity Definitions. [URL: https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/l-1a-intracompany-transferee-executive-or-manager] [4] USCIS. New Offices and Period of Stay. [URL: https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/l-1a-intracompany-transferee-executive-or-manager] [5] USCIS. L-1B Intracompany Transferee Specialized Knowledge. [URL: https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/l-1b-intracompany-transferee-specialized-knowledge] [6] USCIS. Family of L-1 Workers. [URL: https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/l-1a-intracompany-transferee-executive-or-manager]

免責事項

この記事は教育目的のみであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な移住やビジネスの決定については、必ず認可された専門家(弁護士、会計士など)にご相談ください。

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