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グリーンカード申請手続き完全ガイド|必要書類・期間・費用・注意点
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グリーンカード申請手続き完全ガイド|必要書類・期間・費用・注意点

Omer Aydin
19 min read

グリーンカード申請手続き完全ガイド|必要書類・期間・費用・注意点

アメリカ合衆国での永住権、通称「グリーンカード」の取得は、多くの方にとって人生の大きな転機となります。しかし、その申請プロセスは複雑で、多岐にわたる書類、長い審査期間、そして高額な費用が伴います。

本ガイドでは、米国市民権・移民業務局(USCIS)および国務省(Department of State)の公式情報に基づき、グリーンカード申請の全体像を、特に日本からの申請者が知っておくべき重要事項に焦点を当てて徹底的に解説します。


1. グリーンカードとは?そのメリットと責任

グリーンカード(正式名称:Permanent Resident Card)は、外国籍の個人に対し、米国での永住を許可する証明書です。グリーンカード保持者は、以下の主要な権利と責任を有します。

権利(メリット)

  • 永続的な居住権: 米国内で期限の定めなく居住し、生活することができます。
  • 就労の自由: ほとんどの職種で、雇用主のスポンサーシップなしに自由に働くことができます。
  • 起業の自由: 米国内で自身のビジネスを立ち上げ、運営することができます。
  • 旅行の自由: 米国への出入国が比較的容易になります(ただし、長期間の国外滞在には制限があります)。
  • 市民権への道: 一定期間(通常5年、配偶者ベースでは3年)の永住権保持後、米国市民権への帰化申請資格が得られます。

責任(義務)

  • 法律の遵守: 米国の連邦法、州法、地方自治体の法律を遵守する義務があります。
  • 納税義務: 米国市民と同様に、所得税を申告し、納税する義務があります。
  • 居住義務: 米国を「主要な居住地」とし、長期間(通常1年超)の国外滞在は永住の意思がないと見なされ、永住権を失うリスクがあります。

2. 申請資格とカテゴリーの確認

グリーンカードを取得するには、まずご自身がどの資格カテゴリーに該当するかを確認する必要があります。ほとんどの申請者は、以下のいずれかのカテゴリーを通じて申請を行います [1]。

| 資格カテゴリー | 概要 | 主な申請フォーム(請願書) | | :--- | :--- | :--- | | 家族ベース | 米国市民または永住権保持者の近親者(配偶者、未婚の子供、親など)としての申請。 | Form I-130 (外国人親族のための請願書) | | 雇用ベース | 米国企業からの雇用オファーや、特定の専門スキル、投資などに基づく申請。 | Form I-140 (外国人労働者のための移民請願書) | | 人道支援ベース | 難民、亡命者、または特定の被害者(VAWA、Uビザなど)としての申請。 | Form I-730, Form I-360, Form I-918 など | | 特別プログラム | 抽選永住権プログラム(Diversity Visa Lottery)など。 | Form DS-260 (領事処理の場合) |

重要: ほとんどの場合、申請者本人ではなく、スポンサー(雇用主や親族)が**請願書(Petition)**をUSCISに提出し、その承認を得ることからプロセスが始まります。


3. 申請プロセスの全体像:2つの主要なルート

請願書が承認された後、申請者は「米国にいるか、国外にいるか」によって、以下の2つの主要なルートのいずれかで永住権の申請(Form I-485またはDS-260)を進めます [2]。

1. 米国内での身分調整(Adjustment of Status: AOS)

  • 対象者: 米国内に合法的に滞在しており、かつ、身分調整の資格要件を満たしている方。
  • 手続き: USCISにForm I-485(永住権登録または身分調整申請書)を提出します。
  • メリット: 申請中は米国内に滞在し続けることができ、I-765(就労許可)やI-131(渡航許可)を同時に申請することで、審査期間中に就労や海外渡航が可能になります。
  • 注意点: 申請資格を失うと、不法滞在となるリスクがあります。

2. 領事処理(Consular Processing: CP)

  • 対象者: 米国国外に居住している方、または米国内にいても身分調整の資格要件を満たさない方。
  • 手続き: 国務省の**National Visa Center (NVC)**を通じて手続きを進め、最終的に居住国にある米国大使館・領事館で面接を受けます。
  • メリット: 米国に入国することなく永住権を取得できます。
  • 注意点: 永住権が承認されるまで米国に入国できない場合があります。

| 比較項目 | 身分調整(AOS) | 領事処理(CP) | | :--- | :--- | :--- | | 申請場所 | 米国内(USCIS) | 米国国外(NVCおよび大使館・領事館) | | 主要フォーム | Form I-485 | Form DS-260 | | 滞在資格 | 申請中も米国内に滞在可能 | 永住権取得まで原則として米国外に滞在 | | 面接場所 | USCISオフィス | 居住国の米国大使館・領事館 |


4. 申請ステップと必要書類の完全リスト

グリーンカード申請の一般的なステップと、身分調整(AOS)で最も一般的に要求される必要書類を解説します。

一般的な申請ステップ

  1. 請願書の提出: スポンサー(親族または雇用主)がUSCISに請願書(I-130, I-140など)を提出し、承認を得ます。
  2. ビザの空き待ち: 家族移民の一部や雇用移民では、ビザの空き(優先日の到来)を待つ必要があります(Visa Bulletinを確認)。
  3. 永住権申請:
    • AOSの場合: Form I-485をUSCISに提出。
    • CPの場合: NVCに書類を提出後、大使館・領事館で面接。
  4. バイオメトリクス(生体認証): 指紋、写真、署名の提供のためにUSCISのASC(Application Support Center)で予約を取ります。
  5. 面接: ほとんどの家族ベースの申請では面接が必須です。雇用ベースでは免除される場合もあります。
  6. 最終決定: 申請が承認されると、グリーンカードが郵送されます。

Form I-485(身分調整)の主な必要書類

I-485申請には、以下の書類が一般的に要求されます。すべての書類は、英語への翻訳(翻訳者の署名入り証明書付き)が必要です [3]。

| 区分 | 必要書類 | 備考 | | :--- | :--- | :--- | | 申請フォーム | Form I-485 | 永住権登録または身分調整申請書 | | | Form I-864 | 家族ベースの場合の「財政支援宣誓供述書」 | | | Form I-693 | 封印された状態の「健康診断書および予防接種記録」 | | 身分証明 | パスポートサイズの写真2枚 | USCISの規定に従ったもの | | | 出生証明書(原本とその英訳) | 必須 | | | 政府発行の写真付き身分証明書のコピー | パスポート、運転免許証など | | 移民ステータス | I-94(出入国記録)のコピー | 最新の合法的な入国記録 | | | 過去の非移民ビザ(F-1, H-1Bなど)のコピー | 過去の米国滞在を証明するもの | | 請願書関連 | 承認された請願書(I-130, I-140など)のコピー | 承認通知(I-797)を含む | | その他 | 警察証明書(犯罪歴がないことの証明) | 該当する場合 | | | 結婚証明書、離婚証明書など | 該当する場合 |


5. 申請期間と費用:期間はケースにより大きく変動

グリーンカード申請の「期間」と「費用」は、申請カテゴリー、USCISの処理能力、そして申請者の居住地(AOSかCPか)によって大きく異なります。

申請期間(目安)

USCISの処理期間は常に変動しており、正確な期間を断定することはできません。以下の期間は、あくまで一般的な目安としてご参照ください。

| フォーム | 処理期間の目安 | 備考 | | :--- | :--- | :--- | | Form I-130 | 10ヶ月〜35ヶ月以上 | 家族カテゴリーにより大きく変動 [4] | | Form I-140 | 3ヶ月〜15ヶ月 | 雇用カテゴリー(EB-1, EB-2, EB-3など)により変動。プレミアム処理(追加費用)で短縮可能。 | | Form I-485 | 9ヶ月〜14ヶ月以上 | 申請者の居住地、カテゴリー、およびUSCISのオフィスにより変動 [5] |

注意点: 申請期間は、USCISのウェブサイトにあるProcessing Times Toolで最新の情報を確認することを強く推奨します。

申請費用(2025年12月現在)

USCISの申請費用は、2025年12月現在、以下の通りです。これらの費用は予告なく変更される可能性があるため、申請前にUSCISのFee Schedule (G-1055)で確認してください [6]。

| フォーム | 申請カテゴリー | 費用(オンライン申請) | 費用(ペーパー申請) | | :--- | :--- | :--- | :--- | | Form I-130 | 外国人親族のための請願書 | $625 | $675 | | Form I-140 | 外国人労働者のための移民請願書 | $665 + 追加費用 | $715 + 追加費用 | | Form I-485 | 永住権登録または身分調整申請書(14歳以上) | N/A | $1,440 | | Form I-485 | 14歳未満(親と同時申請) | N/A | $950 | | USCIS Immigrant Fee | 永住権交付手数料(グリーンカード発行時) | N/A | $235 |

総費用に関する補足:

  • 上記のUSCIS申請費用に加え、弁護士費用健康診断費用(Form I-693)、翻訳費用、そして渡航費用(領事処理の場合)などが別途発生します。
  • 総費用は、家族ベースで$2,000〜$3,000、雇用ベースで$2,000〜$5,000以上となることが一般的です(弁護士費用を除く) [7]。

6. 申請時の重要な注意点

1. 専門家(弁護士)への相談

グリーンカード申請は、個々の状況(過去のビザ違反、犯罪歴、不法滞在期間など)によって複雑さが大きく変わります。特に以下のようなケースでは、移民法専門の弁護士に相談することを強く推奨します。

  • 過去にビザのステータスを失ったことがある。
  • 犯罪歴がある、または逮捕歴がある。
  • 身分調整(AOS)の資格があるか不明確な場合。
  • 請願書とI-485を同時に提出する「コンカレント・ファイリング」を検討している場合。

2. 書類の正確性と完全性

USCISは、提出された書類の不備や不足に対して非常に厳格です。書類が不完全である場合、RFE(Request for Evidence: 追加証拠の要求)が発行され、審査期間が大幅に遅延するだけでなく、最悪の場合、申請が却下される可能性もあります。

  • チェックリストの活用: USCISが提供する各フォームのチェックリスト(例:Form I-485 Checklist)を必ず利用し、すべての必要書類が揃っていることを確認してください。
  • 翻訳の徹底: 外国語の書類は、必ず英語への認定翻訳(Certified Translation)が必要です。

3. 申請中のステータス維持(AOSの場合)

身分調整(AOS)を申請中の場合、申請者は「Pending Applicant」という特別なステータスになりますが、元の非移民ステータス(例:H-1B、F-1)を維持し続けることが推奨されます。

  • 就労・渡航許可: I-485と同時にI-765(EAD: 就労許可)とI-131(AP: 事前許可証)を申請し、これらのカードが発行されてから就労や海外渡航を行うようにしてください。EAD/APなしでの海外渡航は、I-485申請が放棄されたと見なされるリスクがあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. グリーンカードの有効期限はありますか?

A1. グリーンカード自体は通常10年間有効ですが、永住権のステータスは永続的です。10年ごとにカードの更新(Form I-90)が必要です。ただし、結婚ベースで取得した場合は、最初の2年間は条件付き永住権(Conditional Green Card)となり、期限が切れる前に条件解除の申請(Form I-751)が必要です。

Q2. 申請中に海外旅行はできますか?

A2. 身分調整(AOS)申請中の場合、**Form I-131(事前許可証:Advance Parole, AP)**を申請し、その承認を得てから渡航する必要があります。APなしで米国を出国すると、I-485申請が放棄されたと見なされ、米国への再入国が困難になるリスクがあります。

Q3. 申請が却下された場合、どうなりますか?

A3. 却下された理由によります。単純な書類の不備であれば再申請が可能な場合もありますが、資格要件を満たしていない、または重大な移民法違反が理由の場合は、再申請が非常に困難になるか、米国からの退去を求められる可能性もあります。却下通知を受け取った場合は、速やかに移民法弁護士に相談してください。


法的免責事項(Legal Disclaimer)

本記事は、米国移民法に関する一般的な情報提供を目的としており、法的アドバイスを構成するものではありません。米国移民法は頻繁に改正され、個々のケースによって適用される法律や規則が異なります。読者の皆様の具体的な状況については、必ず米国移民法を専門とする弁護士にご相談ください。本記事の情報に基づいて生じたいかなる損害についても、当事務所は一切の責任を負いません。


参照情報(References)

[1] U.S. Citizenship and Immigration Services. Green Card Eligibility Categories. [2] U.S. Citizenship and Immigration Services. How to Apply for a Green Card. [3] U.S. Citizenship and Immigration Services. Checklist of Required Initial Evidence for Form I-485. [4] Boundless. The Latest Green Card Processing Times - 2025. [5] Alonso & Alonso Law. 2025 USCIS Processing Times: What to Expect Now. [6] U.S. Citizenship and Immigration Services. Filing Fees. [7] Boundless. How Much Does a Green Card Cost?.


免責事項

この記事は教育目的のみであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な移住やビジネスの決定については、必ず認可された専門家(弁護士、会計士など)にご相談ください。

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