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EB-5投資永住権プログラム完全ガイド|投資額・条件・申請方法【2026年最新】

EB-5投資永住権プログラムの投資額、申請条件、手続きの流れを2026年最新情報で徹底解説。アメリカ永住権(グリーンカード)を投資で取得するための完全ガイドです。

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Nippon to USA 編集部

42 min read
EB-5ビザ解説:投資永住権で米国グリーンカード【2026年版】

eb-5

「お金を投資すればアメリカの永住権が取れる」——EB-5プログラムについて、こんな一言で説明されることがよくあります。間違いではないのですが、実態はもっと複雑です。

投資額は最低でも80万ドル(約1.2億円)。審査には数年かかる。しかも投資したお金が返ってくる保証はありません。それでも、EB-5はスポンサー企業がなくても自力でアメリカの永住権を取得できる数少ないルートとして、世界中の投資家から根強い人気があります。

特に日本人の場合、E-2ビザという手軽な投資家ビザが使える分、EB-5は「わざわざ選ぶもの?」と思われがちです。でも、E-2はあくまで非移民ビザ。更新を繰り返す生活に限界を感じたり、子どもの将来を考えたりすると、やはり永住権の安定感にはかないません。

この記事では、2026年3月時点の最新情報をもとに、EB-5プログラムの仕組み、投資額、申請手続き、リスク、日本人特有の注意点まで、余すことなく解説します。

情報源: USCIS公式(uscis.gov)、米国国務省(travel.state.gov)、EB-5改革・誠実法(RIA 2022)の条文。最終確認日:2026年3月14日。


EB-5プログラムとは? — 基本の仕組みをわかりやすく

EB-5(Employment-Based Fifth Preference)は、1990年に米国議会が創設した投資を通じた移民プログラムです。「雇用ベース移民」の第5優先カテゴリーに分類されるため、EB-5という名前がついています。

一言で言えば、「アメリカに投資して雇用を生み出してくれたら、お礼に永住権をあげますよ」という制度です。

EB-5の基本スペック

| 項目 | 内容 | |------|------| | 正式名称 | EB-5 Immigrant Investor Program | | 根拠法 | Immigration Act of 1990 / EB-5 Reform and Integrity Act of 2022 | | 取得できるもの | 米国永住権(グリーンカード) | | 最低投資額(標準) | $1,050,000(約1.6億円) | | 最低投資額(TEA) | $800,000(約1.2億円) | | 雇用創出要件 | フルタイム10人以上 | | 家族 | 配偶者+21歳未満の未婚の子も同時に永住権取得可 | | 年間発給枠 | 約10,000件(家族を含む) | | スポンサー | 不要(自己申請) |

ここが重要なのですが、EB-5は移民ビザです。E-2ビザやH-1Bのような「非移民ビザ」とは根本的に違って、最初から永住権取得を前提としたプログラムなんです。

もうひとつ。EB-5は雇用主のスポンサーが一切不要です。就労ビザの多くは米国企業のスポンサーシップがないと申請すらできませんが、EB-5なら自分の投資だけで永住権への道が開けます。この「自己完結型」という点が、EB-5の最大の魅力と言えるでしょう。


EB-5の投資額要件 — $1,050,000 と $800,000の違い

EB-5プログラムの投資額は、2022年3月のEB-5改革・誠実法(Reform and Integrity Act、通称RIA)で大幅に引き上げられました。

現在の最低投資額(2026年3月時点)

| 投資カテゴリー | 最低投資額 | 日本円換算(概算) | |:---|:---|:---| | 標準エリア(Non-TEA) | $1,050,000 | 約1億5,750万円 | | ターゲット雇用エリア(TEA) | $800,000 | 約1億2,000万円 | | インフラプロジェクト | $800,000 | 約1億2,000万円 |

※日本円換算は1ドル=150円で算出。実際のレートは変動します。

TEA(Targeted Employment Area)とは?

TEAは「ターゲット雇用エリア」の略で、以下のいずれかに該当する地域です。

  • 高失業率地域: 全米平均の1.5倍以上の失業率がある地域
  • 農村部(Rural Area): 国勢調査で都市部に含まれず、人口2万人未満の地域

RIA以降、TEAの指定は米国国土安全保障省(DHS)が直接行うことになりました。以前は州政府がTEA認定を行っていたため、一部の州が恣意的にTEAを認定して問題になっていたんです。この変更で、TEA指定の信頼性は格段に上がりました。

なぜTEAが重要なのか

単純に、投資額が25万ドル(約3,750万円)も安くなるからです。大半のEB-5申請者はTEAプロジェクトに投資しています。しかも、RIA以降は農村部TEAプロジェクトに対してビザの優先枠(リザーブ枠)が設けられており、ビザの待ち時間が短くなる可能性もあります。

資金の合法性証明

投資資金の出所が合法であることを証明する必要があります。具体的には以下のような書類が求められます。

  • 過去5年分の確定申告書(日本の場合は所得税申告書)
  • 銀行口座の取引明細
  • 不動産売却益の場合は売買契約書
  • 相続・贈与の場合はその証明書類
  • 事業売却益の場合は関連契約書

この「資金の合法性証明(Source of Funds)」は、EB-5申請で最も手間がかかる部分のひとつです。日本の場合、海外送金の際にマネーロンダリング防止法の確認も入るので、準備は早めに始めることをおすすめします。


直接投資 vs リージョナルセンター — 2つの投資方法

EB-5には2つの投資ルートがあります。どちらを選ぶかで、手間もリスクも大きく変わります。

直接投資(Direct Investment)

自分でアメリカに新規事業を立ち上げる、または既存事業に直接投資する方法です。

メリット:

  • 自分のビジネスなので、経営への関与度が高い
  • 投資リターンを直接コントロールできる
  • リージョナルセンターへの手数料が不要

デメリット:

  • 10人のフルタイム従業員を直接雇用しなければならない(W-2ベース)
  • アメリカでのビジネス運営の知識・経験が必要
  • 失敗リスクが高い

リージョナルセンター(Regional Center)プログラム

USCISが指定した「リージョナルセンター」を通じて投資する方法です。不動産開発やインフラプロジェクトが多く、投資家は経営に直接関与しません。

メリット:

  • 間接雇用もカウントできる(経済モデルで計算)
  • 経営に関与しなくていい(パッシブ投資)
  • 実績のあるプロジェクトを選べる

デメリット:

  • 管理手数料がかかる(後述)
  • 投資先のコントロールが効かない
  • リージョナルセンターの質にバラツキがある

実際にはどちらが多い?

圧倒的にリージョナルセンターです。EB-5申請者の約90%以上がリージョナルセンターを利用しています。理由は明快で、間接雇用がカウントできるため雇用創出要件を満たしやすく、投資家自身がビジネスを運営する必要がないからです。

特に日本に住みながらEB-5を申請する場合、直接投資はハードルが高すぎます。アメリカに引っ越す前から現地で10人雇うなんて、現実的ではないですよね。


EB-5改革・誠実法(RIA 2022)の主要変更点

2022年3月15日に成立したRIAは、EB-5プログラムに大幅な変更を加えました。これは2024年に期限切れの可能性がありましたが、延長され、2026年3月現在も有効です。

主な変更点まとめ

| 変更項目 | 旧制度 | RIA以降(現行) | |:---|:---|:---| | 標準投資額 | $1,000,000 | $1,050,000 | | TEA投資額 | $500,000 | $800,000 | | TEA認定 | 州政府が認定 | DHSが直接認定 | | 申請フォーム | I-526 | I-526E | | リージョナルセンター | 期限切れのリスクあり | 恒久的な認可制度に移行 | | ファンド管理 | 規制が緩い | 第三者エスクロー必須 | | ビザリザーブ枠 | なし | 農村部TEA 20%、高失業率TEA 10%、インフラ 2% | | 投資額の調整 | 固定 | 5年ごとにインフレ調整 |

特に重要な3つの変更

1. ビザリザーブ枠の新設

年間約10,000のEB-5ビザ枠のうち、農村部TEAプロジェクトに20%(約2,000枠)、高失業率TEAに10%(約1,000枠)、インフラプロジェクトに2%(約200枠)が優先的に割り当てられるようになりました。

これにより、特に農村部TEAプロジェクトに投資した場合、ビザの待ち時間が大幅に短縮される可能性があります。中国やインド出身の申請者にとっては10年以上の待ち時間がある中、農村部TEA枠は比較的空いているため、大きなアドバンテージになっています。

2. ファンドの透明性向上

リージョナルセンターは、投資資金を第三者のエスクロー口座に預けることが義務化されました。さらに、年次の監査や報告義務も強化。以前は投資詐欺が横行していたEB-5業界にとって、これは非常に重要な改善です。

3. 同時申請(Concurrent Filing)が可能に

米国内に合法的に滞在している場合、I-526E請願書とI-485(身分調整申請)を同時に提出できるようになりました。これにより、I-526Eの審査中でも就労許可(EAD)や渡航許可(Advance Parole)を取得できる可能性があります。


雇用創出要件 — 10人のフルタイム雇用

EB-5プログラムの核心は「雇用創出」です。投資家は、投資を通じて最低10人のフルタイム雇用を創出しなければなりません。

フルタイム雇用の定義

  • 週35時間以上の労働
  • 米国市民、永住権保持者、または就労許可を持つ外国人が対象
  • 投資家本人とその家族は含まれない

直接投資とリージョナルセンターの違い

| 項目 | 直接投資 | リージョナルセンター | |:---|:---|:---| | 雇用の種類 | 直接雇用のみ | 直接雇用+間接雇用+誘発雇用 | | 証明方法 | W-2、給与台帳 | 経済分析モデル(RIMS IIなど) | | 柔軟性 | 低い | 高い |

リージョナルセンターの場合、「間接雇用」(建設プロジェクトの建材供給業者の従業員など)や「誘発雇用」(プロジェクト関係者が地域で消費することで生まれる雇用)もカウントできるため、10人の要件を満たすのがはるかに容易です。

正直なところ、直接投資で10人の直接雇用を維持し続けるのは、かなりの経営手腕が必要です。飲食店を2〜3店舗経営するくらいの規模感がないと厳しいでしょう。


申請プロセスの全体像 — I-526EからI-829まで

EB-5の申請は大きく3つのステージに分かれます。

ステージ1: I-526E請願書の提出

I-526Eは「移民投資家請願書」で、EB-5プロセスの最初のステップです。

提出書類(主なもの):

  • 投資額の証明
  • 資金の合法性証明(Source of Funds)
  • ビジネスプラン(直接投資の場合)
  • リージョナルセンター関連書類
  • TEA証明(該当する場合)
  • 経済分析レポート(雇用創出の見込み)

審査期間: 2026年時点で約24〜36ヶ月(プレミアムプロセシング利用で短縮可能な場合あり)

ステージ2: 条件付き永住権の取得

I-526Eが承認されると、次は永住権の申請です。

  • 米国内にいる場合: I-485(身分調整申請)を提出
  • 日本にいる場合: NVC(National Visa Center)経由で在日米国大使館でのビザ面接

承認されると、**2年間の条件付き永住権(Conditional Green Card)**が発給されます。この段階では「条件付き」なので、後のステップが必須です。

ステージ3: I-829条件解除申請

条件付き永住権の期限切れ90日前から期限切れ日までの間に、I-829(条件解除申請)を提出します。

I-829で証明すること:

  • 投資資金がまだ投資されていること(引き上げていないこと)
  • 10人の雇用が創出されたこと(または創出される合理的な見込みがあること)
  • 投資が当初の条件通りに維持されていること

I-829が承認されると、**条件なしの永住権(10年カード)**が発行されます。これでようやく、本当の意味でのグリーンカード取得です。

プロセス全体のタイムライン

投資実行 → I-526E提出 → I-526E承認(24〜36ヶ月)→ ビザ面接/I-485承認
→ 条件付き永住権取得 → 2年間の条件付き期間 → I-829提出 → I-829承認
→ 無条件永住権取得

合計: 約4〜6年(ケースにより前後あり)

処理期間とタイムライン — 覚悟すべき待ち時間

正直に言うと、EB-5は時間がかかるプログラムです。「来年にはアメリカに住みたい」という方には向きません。

各ステージの目安処理期間(2026年3月時点)

| ステージ | 処理期間の目安 | |:---|:---| | I-526E審査 | 24〜46ヶ月 | | NVC処理(領事処理の場合) | 6〜12ヶ月 | | ビザ面接〜入国 | 2〜4ヶ月 | | 条件付き永住権期間 | 2年 | | I-829審査 | 12〜36ヶ月 |

合計の目安: 投資実行から無条件永住権取得まで、おおよそ5〜7年。

プレミアムプロセシングの活用

2023年以降、EB-5のI-526Eにもプレミアムプロセシング(追加料金を支払って審査を迅速化する制度)が段階的に導入されています。料金は$2,805で、120日以内の審査が保証されます(ただし、追加証拠の要請があった場合はリセットされます)。

利用可能な場合は活用する価値がありますが、2026年時点ではまだすべてのケースで利用できるわけではないため、移民弁護士に確認してください。


ビザの空き状況とリトログレッション(後退)問題

EB-5ビザには年間約10,000の発給枠がありますが、これは世界全体の数字です。しかも家族を含むため、実際に投資家本人に発行されるのは約3,500件程度。

リトログレッションとは?

特定の国からの申請が多すぎると、その国のビザ枠が「後退(リトログレッション)」します。つまり、申請順に処理してもビザ枠が足りないため、待ち行列ができるということです。

2026年3月時点の状況:

  • 中国本土出身者: 数年〜10年以上の待ち時間
  • インド出身者: 数年の待ち時間
  • 日本出身者: 基本的にリトログレッションなし(Current)

これは日本人にとって非常に有利なポイントです。中国やインドの投資家がEB-5を申請すると何年も待つ必要がある中、日本国籍者はビザ枠が空いているため、比較的スムーズにプロセスが進みます。

RIAのリザーブ枠を活用する

前述の通り、農村部TEAプロジェクトには年間EB-5枠の20%が優先配分されます。日本人の場合、もともとリトログレッションの心配は少ないですが、農村部TEAプロジェクトに投資することで、さらに確実性を高められます。


日本人投資家にとってのEB-5 — メリットと注意点

日本人ならではのメリット

1. リトログレッションがほぼない

繰り返しになりますが、これは最大のアドバンテージです。Visa Bulletinを毎月ハラハラしながら確認する必要がありません。

2. E-2ビザからの「ステップアップ」が可能

すでにE-2ビザでアメリカに滞在している場合、E-2の期間中にEB-5を申請し、I-526E承認後にI-485(身分調整)で永住権に切り替えるというルートが取れます。E-2で米国生活を始めて、子どもが学校に馴染んだタイミングで永住権申請——という流れは、実は結構スマートです。

3. 日米租税条約の恩恵

日本とアメリカの間には租税条約があり、二重課税の軽減措置があります。EB-5投資の収益に関しても、適切な税務プランニングを行えば、過度な税負担は避けられます。

日本人が注意すべき点

1. 海外送金の手続き

日本からアメリカへ80万ドル以上を送金するには、銀行でのマネーロンダリング防止チェックに時間がかかります。事前に銀行に相談し、必要書類を準備しておきましょう。

2. 日本の税務上の影響

アメリカの永住権を取得すると、米国での全世界所得申告義務が生じます。日本にも資産や所得がある場合、両国での税務申告が必要になり、税務の複雑さが増します。国際税務に詳しい税理士・CPAの起用を強くおすすめします。

3. 為替リスク

投資は米ドル建てです。円安局面で投資すると、実質的な投資額(円換算)が大きくなります。逆に、将来円高になれば、投資回収時に為替差損が出る可能性もあります。

4. 永住権取得後の日本への帰国

グリーンカード取得後に日本に長期帰国する場合、年間6ヶ月以上の不在は永住権放棄と見なされるリスクがあります。日本と米国を行き来するライフスタイルを想定している方は、グリーンカード保持者の一時帰国ガイドも参考にしてください。


EB-5にかかる費用の全体像

EB-5は投資額だけでは済みません。実際にかかるコストを整理してみましょう。

費用一覧(TEA投資の場合)

| 費目 | 金額(目安) | 備考 | |:---|:---|:---| | 投資額(TEA) | $800,000 | プロジェクト完了後に返還される可能性あり | | リージョナルセンター管理費 | $50,000〜$75,000 | プロジェクトにより異なる | | 移民弁護士費用 | $15,000〜$30,000 | I-526E+I-485/CP+I-829の総額 | | I-526E申請料 | $3,675 | USCIS手数料 | | I-485申請料 | $1,440 | 身分調整の場合(家族分は別途) | | I-829申請料 | $3,750 | 条件解除 | | DS-260関連費用 | $345 | 領事処理の場合 | | 健康診断・翻訳等 | $500〜$1,500 | | | 会計士・税理士費用 | $5,000〜$15,000 | 資金の合法性証明の作成 | | プレミアムプロセシング | $2,805 | 任意(利用可能な場合) |

合計の目安

投資額を含めると、$875,000〜$930,000程度(TEAの場合)。日本円にして約1.3億〜1.4億円です。

標準エリアの場合は、投資額が$1,050,000になるため、総額は**$1,125,000〜$1,180,000**(約1.7億〜1.8億円)。

率直に言って、安くはありません。ただし、投資額自体はプロジェクトが成功すれば5〜7年後に返還される可能性があります(保証はありません)。実質的な「費用」は管理費と各種手数料の合計である$75,000〜$125,000程度と見ることもできます。


EB-5 vs E-2ビザ — 徹底比較

日本人にとっては、EB-5とE-2の比較は避けて通れません。どちらも「投資」で米国に滞在する方法ですが、性質はまったく異なります。

| 比較項目 | EB-5 | E-2ビザ | |:---|:---|:---| | ビザの種類 | 移民ビザ(永住権) | 非移民ビザ(一時滞在) | | 最低投資額 | $800,000〜$1,050,000 | 実務上$80,000〜$300,000程度 | | スポンサー | 不要 | 不要 | | 有効期間 | 永久(条件解除後) | 最長5年(更新可能) | | 配偶者の就労 | 永住権として自由 | EAD取得で可能 | | 投資の管理 | パッシブ投資可 | 自ら事業を運営・管理する必要あり | | 雇用創出要件 | 10人以上 | 法的要件なし(実務上は求められる) | | 取得までの期間 | 4〜6年 | 2〜6ヶ月 | | 市民権への道 | 永住権取得後5年で申請可能 | 直接のルートなし |

どちらを選ぶべき?

  • 今すぐアメリカに行きたい人 → E-2ビザ。処理が圧倒的に速い
  • 最終的に永住権がほしい人 → EB-5。最初から永住権への道
  • 投資予算が1億円以下の人 → E-2ビザ一択
  • 事業を自分で運営したくない人 → EB-5(リージョナルセンター経由)
  • 両方のいいとこ取り → E-2で渡米し、並行してEB-5を申請

実は、「E-2 → EB-5」のステップアップ戦略を取る日本人投資家は少なくありません。まずE-2で米国生活をスタートし、現地に馴染んでからEB-5で永住権を目指す。時間はかかりますが、リスクを分散しながら確実にグリーンカードに近づく方法です。


リージョナルセンターの選び方 — 失敗しないための7つのチェックポイント

EB-5で最も重要な判断のひとつが、リージョナルセンター(とそのプロジェクト)の選択です。過去には詐欺的なリージョナルセンターによる被害も報告されています。以下のポイントを必ず確認してください。

1. USCIS認可の有無

リージョナルセンターがUSCISから正式に認可されているか確認しましょう。USCISのウェブサイトで認可済みリージョナルセンターのリストが公開されています。RIA以降、認可要件が厳格化されたため、認可を維持していること自体がひとつの信頼材料です。

2. 過去のI-526E/I-829承認率

そのリージョナルセンターを通じた申請の承認率を確認しましょう。特にI-829(条件解除)の承認実績は重要です。I-526Eが承認されてもI-829で却下されれば、永住権は取れません。

3. 資金の返還実績

過去のプロジェクトで、投資家に資金が返還された実績があるか。EB-5は「投資」である以上、元本保証はありませんが、返還実績がゼロのセンターは要注意です。

4. プロジェクトの資金構造

EB-5資金がプロジェクト全体の何%を占めるか確認しましょう。EB-5資金の割合が高すぎるプロジェクト(例: 80%以上)は、他の資金調達ができていない=プロジェクトの信用力が低い可能性があります。理想は、EB-5資金が全体の30〜50%程度。

5. 開発者の実績

リージョナルセンターだけでなく、実際にプロジェクトを開発する企業の実績も調べましょう。過去に類似プロジェクトを成功させた実績があるかどうかは、非常に重要な判断材料です。

6. 第三者エスクローの有無

RIAにより義務化されていますが、投資資金が第三者のエスクロー口座に預けられていることを確認してください。万が一I-526Eが却下された場合に資金が返還されるかどうかも確認しましょう。

7. SEC登録の有無

大規模なリージョナルセンターの場合、SEC(証券取引委員会)に登録されていることがあります。必須ではありませんが、登録があれば透明性の面でプラスです。


リスクとデューデリジェンス — 知っておくべき現実

EB-5は「投資」プログラムです。投資である以上、リスクはゼロではありません。

主なリスク

1. 投資元本の毀損リスク

プロジェクトが失敗した場合、投資した80万ドルが全額戻ってくる保証はありません。不動産開発プロジェクトが頓挫した、リージョナルセンターが破綻したというケースも実際に存在します。

2. I-526E/I-829却下リスク

申請が却下される可能性もあります。資金の合法性が証明できない、雇用創出要件を満たさないなどが主な却下理由です。

3. リージョナルセンターの認可取消リスク

RIA以降、USCISはリージョナルセンターへの監督を強化しています。コンプライアンス違反があれば認可が取り消される可能性もあり、その場合、投資家にも影響が及びます。

4. 法改正リスク

EB-5プログラム自体の制度変更リスク。投資額が将来さらに引き上げられたり、プログラムの要件が変わったりする可能性は常にあります。

5. 処理遅延リスク

USCISの審査が想定以上に長引くリスク。政治情勢や予算の問題で、処理期間が延びることは珍しくありません。

デューデリジェンスのチェックリスト

  • [ ] 移民弁護士による法的レビュー
  • [ ] SEC弁護士による投資文書のレビュー(推奨)
  • [ ] リージョナルセンターの財務諸表の確認
  • [ ] 過去の投資家への聞き取り(可能であれば)
  • [ ] プロジェクトサイトの実地確認
  • [ ] EB-5業界の専門メディア・フォーラムでの評判確認

弁護士費用をケチって自分だけで判断するのは、80万ドルの投資において最も危険な節約です。移民弁護士だけでなく、証券法に詳しい弁護士にも投資文書をレビューしてもらうことを強くおすすめします。


2026年最新アップデート

投資額のインフレ調整

RIAでは、EB-5の投資額を5年ごとにインフレ率に基づいて調整する仕組みが導入されました。次の調整は2027年に予定されており、投資額がさらに上がる可能性があります。2026年中に投資を検討している方は、現行の投資額で申請できるうちに動くのが賢明です。

リージョナルセンター監督の強化

USCISは2025年から2026年にかけて、リージョナルセンターの年次監査を本格化させています。コンプライアンス不備のあるセンターの認可取消も相次いでおり、業界の健全化が進んでいます。逆に言えば、現在認可を維持しているセンターは、以前よりも信頼性が高いと言えるでしょう。

農村部TEAプロジェクトの人気上昇

ビザリザーブ枠の恩恵もあり、農村部TEAプロジェクトへの投資が増加しています。特に、ビザ待ちの長い中国・インド出身者を中心に人気が集中しており、農村部TEAのリザーブ枠も将来的には競争が激しくなる可能性があります。

同時申請の実務的な広がり

米国内に合法的に滞在するEB-5申請者が、I-526EとI-485を同時に申請するケースが増えています。E-2やF-1ビザで滞在中にEB-5を申請し、すぐにI-485を出して就労許可(EAD)を取得する——このルートは、特にE-2からEB-5への移行を検討する日本人にとって、非常に実用的です。


よくある質問(FAQ)

Q1. EB-5の投資は返ってきますか?

投資資金はプロジェクト完了後(通常5〜7年後)に返還される可能性があります。ただし、これは投資である以上、元本保証はありません。リージョナルセンターの過去の返還実績を確認しましょう。

Q2. 日本に住みながらEB-5を申請できますか?

はい、可能です。リージョナルセンターを通じた投資であれば、日本にいながらI-526Eを提出し、承認後に在日米国大使館でビザ面接を受けるという流れになります。

Q3. EB-5の投資中にアメリカに住めますか?

I-526Eの審査中はEB-5ベースでの米国滞在はできません。ただし、E-2やB-1/B-2など別のビザで滞在している場合は、そのビザのステータスで引き続き滞在可能です。I-526E承認後にI-485を同時申請した場合は、EAD・Advance Paroleにより滞在・就労が可能になります。

Q4. 家族も一緒に永住権を取得できますか?

はい。配偶者と21歳未満の未婚の子どもが、投資家と同時にグリーンカードを申請できます。追加投資は不要です。ただし、子どもの年齢がプロセス中に21歳を超える「エイジアウト」問題には注意が必要です。CSPAの適用で救済される場合もありますが、タイミングが重要です。

Q5. EB-5取得後、日本に長期帰国しても大丈夫ですか?

永住権保持者は米国を主たる居住地とすることが求められます。6ヶ月以上の不在は審査対象となり、1年以上の不在は永住権放棄と見なされるリスクがあります。長期の日本帰国を予定している場合は、Re-entry Permit(再入国許可証)の取得が必要です。

Q6. EB-5の投資先を途中で変更できますか?

I-526Eの審査中であれば、RIAの規定により「プロジェクトの重大な変更」がない限り、同じリージョナルセンター内の別プロジェクトに移行できるケースがあります。ただし、手続きは複雑なので弁護士と相談してください。

Q7. 英語ができなくてもEB-5は申請できますか?

EB-5には英語能力の要件はありません。申請書類は英語で作成する必要がありますが、それは移民弁護士が対応します。面接も通訳の同席が認められています。他の就労ビザ(H-1Bなど)と違い、英語力は審査基準に含まれません。

Q8. EB-5とDV抽選(グリーンカード抽選)はどちらがいいですか?

DV抽選は費用がほぼかからない反面、当選確率は極めて低い(1%以下)です。EB-5は高額な投資が必要ですが、要件を満たせば確実に永住権が取得できます。確実性を重視するならEB-5、コストをかけたくないなら毎年DV抽選に応募しつつ他の方法を検討する、というのが現実的な判断でしょう。

Q9. EB-5の申請に年齢制限はありますか?

法的な年齢制限はありません。18歳以上で投資資金があれば誰でも申請できます。ただし、高齢の場合は投資回収期間との兼ね合いを考慮する必要があるかもしれません。

Q10. EB-5申請中に他のビザに影響はありますか?

EB-5は移民ビザの申請です。非移民ビザ(E-2、B-1/B-2など)の更新時に「移民の意思(immigrant intent)」があると見なされ、更新が難しくなるリスクがあります。ただし、E-2ビザは「デュアルインテント」が一部認められる傾向があり、実務上は問題にならないケースも多いです。移民弁護士と事前に戦略を立てることが重要です。


まとめ — EB-5は「覚悟のある人」のための永住権ルート

EB-5プログラムは、お金さえあれば誰でも取れるビザではありません。80万ドル以上の投資、数年にわたる審査、投資元本のリスク——どれをとっても軽い判断でできるものではないです。

しかし、裏を返せば、これらのハードルを乗り越えた先にはスポンサー不要の永住権という、他では得がたい成果が待っています。しかも日本人はリトログレッションの心配がほぼなく、世界の他の国の投資家と比べて有利な立場にあります。

特に以下のような方には、EB-5は検討する価値が十分にあります。

  • 自分の力でグリーンカードを取得したい方
  • E-2ビザの更新を繰り返すことに不安を感じている方
  • 子どもにアメリカでの教育機会を長期的に確保したい方
  • 投資余力があり、5〜7年のタイムスパンで永住権取得を計画できる方

最初の一歩は、EB-5に精通した移民弁護士への相談です。自分の資金状況、タイムライン、家族構成に合ったプランを一緒に組み立ててもらいましょう。

アメリカのビザ全般について知りたい方はこちらグリーンカード申請手続きの全体像はこちら


免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。EB-5プログラムの要件や手続きは変更される可能性があります。個別のケースについては、必ずEB-5に精通した移民弁護士にご相談ください。

免責事項

この記事は教育目的のみであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な移住やビジネスの決定については、必ず認可された専門家(弁護士、会計士など)にご相談ください。

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Nippon to USA 編集部

NipponToUSA ライター。アメリカでのビジネスと移住に関する専門情報を日本語でお届けします。

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