E-2ビザ保有者の配偶者は働けますか?
回答
E-2ビザ配偶者の就労について
E-2ビザの大きな利点の一つは、主申請者の配偶者が自動的に就労許可を得られることです。2022年1月30日からのDHS(国土安全保障省)規則変更により、多くの場合、就労許可カード(EAD)を申請・取得する必要がなくなりました。
✅ 現在のルール:E-2配偶者は自動的に就労許可あり(2022年1月30日~)
重要な変更点
2022年1月30日以降、E-2ビザ主申請者の配偶者は、I-94(入国記録)にE-2Sと記載されていれば、就労許可カード(EAD)なしで自動的にアメリカで働くことが認められます。
これは「incident to status」(ステータスに付随する権利)と呼ばれる制度です。
I-94にE-2Sと記載されている場合
✅ EADカード不要で就労可能
I-94にE-2S(Sは"Spouse"の意味)と記載されている配偶者は:
- 就労許可カード(EAD)の申請不要
- 待機期間なし - 入国後すぐに就労開始可能
- 追加費用なし - EAD申請費($410)が不要
🟦 雇用主に提示する書類
E-2S配偶者が雇用主に提示するのは:
- パスポート
- I-94(E-2Sと記載されたもの)
雇用主はこれらの書類を使用して、Form I-9(雇用資格確認フォーム)を完成させることができます。
I-94の確認方法
オンラインでI-94を確認:
https://i94.cbp.dhs.gov/
このサイトで自分のI-94を確認し、"Class of Admission"の欄にE-2Sと記載されているか確認してください。
❗ I-94にE-2Sと記載されていない場合
いつEADカードが必要か?
I-94にE-2とのみ記載されていて、E-2Sになっていない場合:
- ❌ 自動的な就労許可はありません
- ⚠️ EADカードを申請・取得しない限り就労できません
なぜこのような状況が発生するか?
入国時に、CBP(税関・国境警備局)の職員が「S」の表記を忘れることがあります。これは単純なミスですが、配偶者の就労資格に大きく影響します。
🔧 I-94が「E-2」のみの場合の対処法
I-94に「E-2S」ではなく「E-2」とだけ記載されている場合、以下の2つの選択肢があります。
オプション1:CBPにI-94の訂正を依頼(推奨)
最寄りのCBP Deferred Inspection Site(遅延検査サイト)を訪問し、I-94の訂正を依頼します。
必要なもの:
- パスポート(E-2ビザページ含む)
- 現在のI-94
- 結婚証明書
- E-2主申請者の書類
メリット:
- 費用なし
- 訂正後すぐに就労可能
- EAD申請の待機期間が不要
注意:
- すべてのケースで訂正が認められるわけではありません
- CBPの裁量により判断されます
オプション2:EADカードを申請
I-94の訂正が不可能な場合、または訂正を希望しない場合は、従来どおりEADカードを申請する必要があります。
申請プロセス:(後述の「EADカード申請プロセス」を参照)
配偶者ができること
1. 自由な就労
- どの企業でも働ける - 雇用主に制限なし
- どの職種でも可能 - 専門職からパートタイムまで
- フルタイム・パートタイム - 勤務形態は自由
- 起業も可能 - 自分のビジネスを始められる
2. E-2事業以外での就労
- 主申請者のE-2事業で働く必要なし
- 全く別の分野の仕事も可能
- 競合他社での就労も問題なし
状況別まとめ表
| 状況 | EADカードなしで就労可能? | 必要な対応 | |------|------------------------|----------| | I-94にE-2Sと記載 | ✅ はい - 自動的に就労許可あり | パスポートとI-94を雇用主に提示 | | I-94にE-2のみ記載 | ❌ いいえ | CBPでI-94訂正、またはEAD申請 | | E-2ステータスがない | ❌ いいえ | まずE-2ステータスを取得 |
EADカード申請プロセス
注意:このセクションは、I-94に「E-2S」と記載されていない場合にのみ該当します。I-94に「E-2S」と記載されている配偶者は、EADカードを申請する必要はありません。
申請タイミング
- E-2ビザ承認後
- アメリカ入国後
- I-94訂正が不可能な場合、またはEADカードを希望する場合
必要書類
- Form I-765 - 就労許可申請書
- パスポートコピー - 写真ページとビザページ
- I-94 - 入国記録
- 証明写真 - 2枚(米国パスポート規格)
- E-2ビザ承認通知 - 配偶者のE-2ビザ文書
- 結婚証明書 - 主申請者との関係証明
- 申請費 - $410(2024年時点)
申請方法
Form I-765をUSCISに郵送:
USCIS
P.O. Box 805373
Chicago, IL 60680-5373
または
USCIS
Attn: I-765
2500 Westfield Drive
Elgin, IL 60124-7836
処理期間
- 通常:3-6ヶ月
- 最近の傾向:3-4ヶ月程度
- 早期処理(Premium Processing):利用不可
EADの有効期間
- 通常:2年間
- E-2ビザの有効期間と同じ
- 更新可能
就労開始のタイミング
I-94にE-2Sと記載されている場合
✅ すぐに就労開始可能
- 入国直後から働ける
- 待機期間なし
- パスポートとI-94を雇用主に提示するだけ
I-94にE-2のみ記載されている場合(EAD申請が必要)
❌ EAD申請中は就労不可
- EADカードを受け取る前に働くことはできません
- 違反すると移民法上の問題が発生
- ビザステータスに悪影響
✅ EADカード受領後に就労開始
- カードに記載された有効期間内のみ就労可能
- 雇用主にEADカードを提示
⚠️ 重要な注意
**I-94が「E-2」のみの場合、必ずEADカードまたはI-94訂正を取得してから就労を開始してください。**就労許可なしで働くことは重大な移民法違反となり、E-2ステータスの喪失や将来的なビザ申請への悪影響につながります。
配偶者の収入と家計
財政的メリット
E-2主申請者の事業が軌道に乗るまで、配偶者の収入が家計を支えることができます。
実例:
夫:E-2事業主
- 初年度:事業収益 $40,000
- 生活費:$60,000必要
妻:EAD保有・就労
- 収入:$50,000
- 世帯収入:$90,000
これにより、事業に再投資しながら、家族の生活を維持できます。
よくある質問
Q1: I-94にE-2Sと記載されていれば、本当にEADカードは不要ですか?
A: はい、不要です。2022年1月30日からのDHS規則により、E-2S配偶者は「incident to status」として自動的に就労許可を得ています。パスポートとI-94(E-2S記載)だけで就労開始できます。
Q2: 雇用主がEADカードを要求してきた場合は?
A: 雇用主に、E-2S配偶者はEADカード不要であることを説明してください。USCIS公式サイトの情報やForm I-9の説明書を見せると良いでしょう。パスポートとI-94(E-2S記載)で、Form I-9の List A(身分証明と就労許可の両方を証明する書類)を満たします。
Q3: 入国時にE-2SではなくE-2と記載された場合、後から訂正できますか?
A: はい、可能です。最寄りのCBP Deferred Inspection Siteを訪問し、I-94の訂正を依頼できます。パスポート、現在のI-94、結婚証明書、E-2主申請者の書類を持参してください。ただし、訂正が必ず認められるわけではなく、CBPの裁量によります。
Q4: E-2ビザを更新した場合、就労許可はどうなりますか?
A:
- I-94がE-2Sの場合: 新しいI-94もE-2Sと記載されていれば、引き続き就労可能です。EADカードの更新は不要です。
- EADカードを保有している場合: EADカードは別途更新申請が必要です。E-2ビザ更新の約6ヶ月前にEAD更新申請を開始することをお勧めします。
Q5: 配偶者の収入はE-2事業に影響しますか?
A: いいえ、影響しません。配偶者の収入は個人の収入であり、E-2事業とは別です。ただし、配偶者の収入があることで、主申請者が事業により多くの資金を再投資できるという間接的なメリットはあります。
Q6: 配偶者が働かないことを選ぶことはできますか?
A: はい、就労は任意です。E-2S配偶者として就労資格はありますが、働くことを強制されるわけではありません。専業主婦/主夫として子育てや家事に専念することも全く問題ありません。
Q7: 配偶者が専門職(医師、弁護士など)の場合は?
A: 専門職の場合、州のライセンスが必要な場合があります。E-2Sまたは EADは連邦レベルの就労許可ですが、州のライセンス要件は別途満たす必要があります。
Q8: 複数の雇用主で働けますか?
A: はい、制限なしの就労許可なので、複数の仕事やパートタイムの組み合わせも可能です。
EADカード更新
注意:このセクションは、EADカードを保有している配偶者にのみ該当します。I-94にE-2Sと記載されている配偶者は、EADカードを保有していないため、更新の必要はありません。
E-2S配偶者の場合
I-94にE-2Sと記載されている配偶者は:
- EADカードの更新不要
- E-2ビザ更新時に新しいI-94を取得すれば、引き続き就労可能
- 追加の申請や費用なし
EADカードを保有している場合の更新
更新タイミング
- 有効期限の6ヶ月前から申請可能
- 遅くとも3-4ヶ月前には申請すべき
- 処理中にEADが失効すると就労できなくなる
更新申請
- Form I-765再提出
- 最新のI-94
- 現在のEADコピー
- E-2ビザステータスの証明
- 申請費$410
配偶者の社会保障とベネフィット
社会保障番号(SSN)
就労許可を持つ配偶者は、社会保障番号を申請できます:
I-94がE-2Sの場合:
- 最寄りのSSAオフィスを訪問
- 必要書類:パスポート、I-94(E-2S記載)
- 通常2-3週間でSSNカード郵送
- SSN取得後、銀行口座開設や税務手続きが容易に
EADカードを保有している場合:
- 最寄りのSSAオフィスを訪問
- 必要書類:EAD、パスポート、I-94
- 通常2-3週間でSSNカード郵送
- SSN取得後、銀行口座開設や税務手続きが容易に
税務
- 配偶者の収入に対して所得税が課税
- W-2(給与)またはForm 1099(契約)を受領
- 夫婦合算申告(Joint Filing)が一般的
子供のステータス
21歳未満の子供
- E-2ビザで同行可能
- アメリカの学校に通学可能
- ただし就労は不可
21歳以上の子供
- E-2扶養家族としてのステータス喪失
- 別のビザステータス(F-1学生ビザなど)への変更が必要
キャリアへの影響
長期的視点
E-2配偶者として就労することで:
- アメリカでの職務経験を積める
- ネットワークを構築できる
- 将来のキャリアの基盤を作れる
将来の選択肢
もしE-2ビザから他のステータス(グリーンカードなど)に変更する場合、配偶者の職歴やスキルが有利に働く可能性があります。
実際の事例
ケース1:IT専門職の妻
夫: レストランE-2ビザ保有 妻: ソフトウェアエンジニア
- EAD取得後、大手IT企業に就職
- 年収:$100,000
- 家計が安定し、夫の事業にプレッシャーが減少
ケース2:パートタイムで働く妻
夫: コンサルティングE-2ビザ保有 妻: 教育関連のパートタイム
- 週20時間勤務
- 子供の学校と両立
- 適度な収入と社会とのつながり
ケース3:起業した妻
夫: 小売業E-2ビザ保有 妻: オンラインビジネスを起業
- EAD保有で自営業可能
- 夫婦それぞれがビジネスオーナー
- 家族全体の経済的安定性向上
注意事項とベストプラクティス
❗ 重要な注意点
- I-94の確認が最優先 - 入国後すぐに https://i94.cbp.dhs.gov/ でI-94を確認し、E-2Sと記載されているか確認
- 就労許可なしで就労禁止 - I-94がE-2のみでEADカードもない状態での就労は重大な移民法違反
- ステータスの維持 - E-2主申請者の事業が継続していることが前提
- EADカード保有者の場合 - 有効期限の管理と失効前の更新申請が必要
✅ 推奨事項
すべてのE-2配偶者:
- 入国直後にI-94確認 - E-2Sと記載されているか必ず確認
- 書類の保管 - パスポート、I-94、給与明細などを保管
- 税務記録の整理 - 毎年の申告を適切に
I-94がE-2のみの場合:
- CBPで訂正を試みる - まずはDeferred Inspection Siteで訂正依頼
- 訂正不可の場合は早期にEAD申請 - 就労開始予定の6ヶ月前
- 余裕を持った更新 - EAD有効期限の6ヶ月前に更新申請
まとめ
E-2ビザ配偶者の就労許可は、家族全体の生活の質を向上させる重要な要素です。2022年1月からの新ルールにより、多くの配偶者は入国直後から働けるようになりました。
主なポイント:
- ✅ I-94にE-2Sと記載されていれば、EADカード不要で就労可能
- ✅ 入国直後から就労開始できる - 待機期間なし、追加費用なし
- ✅ どの企業でも、どの職種でも働ける
- ✅ E-2事業とは別の収入源を確保できる
- ⚠️ I-94がE-2のみの場合 - CBPで訂正依頼、またはEAD申請が必要
- ⚠️ 就労許可なしでの就労は絶対に禁止
まず確認すべきこと:
- 入国後すぐにI-94を確認 - https://i94.cbp.dhs.gov/
- E-2Sと記載されているか確認
- E-2のみの場合 → CBPで訂正依頼、またはEAD申請
配偶者の就労により、E-2事業主がビジネスに集中でき、家族全体の経済的安定が保たれます。これはE-2ビザの大きな利点の一つです。
免責事項: この記事は教育目的のみで提供されており、法的助言ではありません。個別のケースについては、必ず移民弁護士にご相談ください。筆者はテキサス州弁護士資格を持っていますが、まだ正式にライセンスを取得していません。
免責事項
この回答は教育目的のみであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な移住やビジネスの決定については、必ず認可された専門家(弁護士、会計士など)にご相談ください。情報は執筆時点のものであり、法律や規制は変更される可能性があります。